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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風鳴り坂の怪 探偵奇談15

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時代の吹き溜まり



翌日の夕方。今日も早上がりとなった部活を終え、瑞は颯馬とともに風鳴り坂を目指すことにした。

「危ないことすんなよ。なんかあったら電話しろ」

伊吹が繰り返し釘を刺し、二人は約束を守ることを誓った。朝霧町まではバスが出ているが、さほど遠い距離でもないので歩いていくことにする。雪はうっすら積もっている程度だが、予報では来週からまた大雪だという。懐中電灯を片手に、二人は国道を下る。

「ここだよ」

30分ほど歩いただろうか。古い住宅地の隙間で、颯馬が足を止めた。細い路地のようだが、懐中電灯の明かりを向けると、それが坂道だということがわかった。漆黒がとろとろと続いている。

「なんか、思ってたのと違う雰囲気。坂道って、もっとこう石段とかがあるようなのイメージしてたから」

瑞はそう言って。道の両脇を照らした。
両側は石塀が続き、その塀の裏はどうも雑木林らしい。ざわざわと雪を乗せた木々が影を作っている。途中からは両側が赤茶けた土塀に変わっており、その塀の向こうはどうやら墓場らしかった。長い長い、暗闇へと伸びていく坂。その途中に街灯はまったくない。まるで夜の中に飲み込まれるためにあるような坂だった。男の瑞でも、夜は絶対通りたくない。

「こーいう素敵な雰囲気だから、地元のヒトでも夜は滅多に通らないみたい」
「幽霊どうこうじゃなくて、子どもとか女の子は危険すぎて歩けないだろ…こんな坂」

夕刻ならば誘拐されても目撃すらされなさそうだ。

「昨日言ったみたいに、この坂をのぼった先は住宅地の新道に繋がってるから、ショートカットに利用してるひとがいるんだよ。でも昼間にも怖いことが起きるようになったらしいんだ」

颯馬が坂をのぼっていくので、瑞もあとを追おうとした。そのとき。

「おまえら、なにをしとるか!」

背後から突然声を掛けられた。懐中電灯の光で顔を照らされ、思わず手で顔を隠した。

「学生か…?」
「すいません、変質者じゃないですよ。沓薙山の神社から来ました、天谷颯馬といいます」

颯馬が名乗ると、黒いジャンパーを着た小柄な老人は「おお、天狗さんとこのか」と驚いた様子だった。白いニット帽をかぶっている。