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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第二十九話

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「なるほど。今大使が話された言葉はすべて日本にいるアンドロイドが知ることになります。ストリーツカさんの工場内にあるアンドロイドの記憶プレート更新プログラムを立ち上げれば瞬時に今現在の私の記憶が伝達されます。日本でアンドロイドがどのような発言をするか見ものですね」

「やはり脅しているじゃないですか。エイブラハムさんも何か言ってくださいよ」

エイブラハムは少し笑いながら大使へ返答する。

「大使、負けですよ。今後の対策に話を変えましょう」

「すでに広まってしまった事柄をいまさら取り消しますと誰が言うというのだ。この問題の顛末は内藤夫婦が勝つという結果だけがハッキリとしているだけだ。
われわれに出来ることなどない。そう思い知ったよ」

「それなら二人を帰国させる手続きをなさってください。このままアメリカから出さないという措置を継続させると余計に不利に動きますよ」

「外務省へ相談する。待っていてくれ」

大使は観念したのか、自分ではもうどうすることも出来ないと悟ったのか、その場で連絡を取り始めた。二度三度と電話をしながら最後は頭を下げて、分かりましたと電話を切った。その相手が誰だったのかは予測がつく。

事態は内藤たちが求める方向へと向かい始めていた。
日本では新聞報道とテレビ報道があった日から連日ワイドショーやモーニングショーで日替わりコメンティーターたちが過去の映像を移しながら、55年ぶりの真相究明とのタイトルで大きく報じていた。

国会内でも政権交代のチャンスと見た野党議員たちは党派を超えて結束し、幕僚長に証人喚問を要求していた。
そして事の露見にかかわったアンドロイドの頭脳である内藤本人を国会に呼ぶように総理大臣へ詰め寄った。

政府調査会は総理との最終意見調整で騒がれているような事実はないとの結論を出そうとまとまったが、一人の議員からもし報道の中の一部分でも事実が出て来たら総辞職して国民に選挙で問うことになるがそれもの良いのか、と追及された。
ざわついた議場で総理大臣は苦虫を潰したような表情で、内藤肇と枇々木潤子に入国許可を与え、国会で話を聞こうと静かに口を開いた。

圧倒的な勢力を誇る政権与党ではあったが、アリの一穴で世論が大きく動き出すことを恐れた。真摯に過ちがあれば詫びて、今後の反省とするという態度の方が得策だとの官房長官のアドバイスも聞き入れての決断だった。

駐米日本大使から内藤に電話が掛かって来た。そして日本へ帰国する準備をするように伝えられた。
ストリーツカやアンドロイドたちと入れ替わるように、二人は東京へ向かう。
エイブラハムも同行した。