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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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ブドウのような味の恋

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夜空にレーザーの光が天馬やバラの花や幾何学模様を描いた。
5月とはいえ寒さを感じた。
裕子は少し寒いと言い私に身体を寄せて来た。
藤の花よりも良い香りがした。
裕子の髪は私のあごの下にあった。
「綺麗だわ」
その言葉を言うために裕子は顔をあげた。
まるで唇を寄せるような仕草であった。
私は裕子の頭を撫でた。
「大丈夫いい子で帰ります」
私は裕子を傷つけてしまったように感じた。
裕子が自分の過去を話した意味を私は知りながら、裕子の求めに応える事が出来なかったような気がした。
小山から新幹線に乗る時
「8月に足利で花火があるわ。楽しみにしていいかしら」
私は黙って手を振った。