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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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旧説帝都エデン

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 この事件以降、シザーハンズが帝都の街に姿を現すことはなくなった。
 都民の関心も次第に薄れ、報道各社も今ではこの事件を取り上げることはなくなった。
 最近の都民が関心を寄せていることは帝都の地下で発見された、古代遺跡に集中している。
 この遺跡が都民の暮らしをより良いものにしてくれると科学者たちは口々に言っている。現に遺跡ですでに多くのロストテクノロジーが発見されている――。
「ロストテクノロジーねぇ」
 時雨はTVを見ながらおせんべいをツマミに熱い玉露を飲んでいた。するとそこに一人の訪問者が訪れた。
 コンコン、と戸を叩くと同時に男の声がした。
「入るぞ」
「どうぞ」
 時雨が返事をすると、紅葉が部屋の中へと入って来た。
「報酬を受取に来た」
「報酬?」
「魔導書だ」
「あぁ魔導書ねぇ、でもさぁ、逃げられちゃったから」
「逃げられたからなんだというのだ。私は君に仕事を手伝えと言われただけで、獲物に逃げられようが私の関知するところではない」
「はいはいわかったよ、苦労して手に入れたんだから大事にしてよ」
 そう言うと時雨は紅葉に向かって魔導書を投げた。
 紅葉は魔導書をキャッチすると、足早に部屋を出て行った。
 そして、紅葉が部屋を出て行ったのを確認すると時雨はため息をつき、お茶をすすりながら一言。
「がめついよ紅葉」
「何か言ったか?」
 時雨の目の前には部屋を出て行ったはずの紅葉がいて、それに気づいた時雨は思わず口に含んだお茶を噴出してしまった。
「な、何でまだいるんだよ」
「言い忘れていたことがある」
「なにさ」
 時雨は、噴出したお茶をティッシュで吹きながら、紅葉を上目使いで見上げた。
「帝都の地下で発見された遺跡のことは知っているな?」
「あぁ、ニュースで毎日やってるからね」
「時間があったら行ってみろ」
 そう言うと紅葉は部屋の外へと出て行ってしまった。
「はぁ、何だよ、どういうこと?」
 時雨はこたつに潜るとそのまま目をゆっくりと閉じた。
「まぁいいかぁ」
 そう呟くと同時に時雨はやさしい寝息をたてていた。
 部屋の窓からはやさしい光が部屋中に差し込み、外からは子供たちの遊ぶ声が遠くから微かに聴こえていた――。

 シザーハンズ 完