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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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旧説帝都エデン

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邪神殿


 今、テレビや新聞などのメディアで帝都都民の関心の的の一つに挙げられるものといえば、帝都の地下で発見された古代遺跡ではないだろうか。
 発見から1ヶ月ほど経つこの遺跡のニュースは、一時は話題性を失い身を潜めていたが、ここ最近また世間を賑わすようになった。それはなぜか?
 それは、遺跡の調査に向かった考古学者やトラブルシューターが相次いで行方不明になり、その人々を捜索するために派遣された人探しの専門家のマンサーチャーまでもが行方不明になってしまったからだ。
 この事件を受けて報道各社はこぞってこのニュースを取り上げ、遺跡での取材合戦が繰り広げられることになったのだが、今度はその報道陣の中でも行方不明者が出るという最悪の事態になってしまった。
 しかし、行方不明者が出れば出るほど帝都都民の関心は高まり、それに比例して報道各社の取材合戦は熱を帯びる結果となっていった。

 時雨[シグレ]はこの日、こたつで?独り?お茶とみかんをしながらTVで古代遺跡関連のニュースを見ていた。
「あぁ、このニュースまたやってるんだ。ふ〜ん、今度は人がいなくなっちゃったのか」
「行方不明になっちゃった人の数はもう100人以上になるそうよぉん」
「!?」
 びっくりしたお茶を片手に時雨は凄い勢いで後ろを振り返った。
「はぁ〜い時雨ちゃん、お元気してた?」
 時雨の目の前には、スラリと伸びた美脚を見せ付けるかのようにモデル立ちをした今日も派手な法衣を着たマナが立っていた。
 派手な法衣といっても彼女曰く、魔導士の”正装”服らしいのだが、時雨は”盛装”服でしょ、といつも思っていた。しかし、それを口にしたことは一度も無い。もちろん理由はあとが恐いからで、その思いは一生時雨の口からは発せられることはないだろう。
「どっから入って来たの?」
 時雨はもっともな質問をマナに投げかけてみた。
「テレポートして来たのよぉん」
「こういうのって不法侵入っていうんじゃないの?」
「堅いことはいいっこなしよぉん」
 時雨の目線がマナの足元に注目し、それから彼は茶を少し喉に通して言った。
「でさぁ、何しに来たの?土足?で?」
「帝都地下の遺跡に今から行くわよぉん」
「はっ!?」
 マナの言葉に時雨は驚きと戸惑いを隠せなかった。
「ちゃんと聞えてたでしょ、早く仕度して行くわよぉん」
「訳不明、なに言ってるの?」
 いきなり現われて遺跡に行くと言われても、時雨にはその訳も理由も全くわからない。
 それにマナが土足で現われたのはそれほどまでの急ぎの用事なのかと時雨は少し考えたが、マナは平気で人の家に土足で上がるタイプの人間なのだと結論付けた。
 腕組みをしたマナは時雨を促すようにこう言った。
「紅葉[クレハ]ちゃんにも行ってみろって言われてたでしょ」
「そういえばそんな事もあったような、なかったような……ってなんでそんな事知ってるの!?」
 確かに時雨には紅葉に遺跡に行ってみろと言われたような記憶がある。だが、そのなことよりもなぜマナがそのことを知っているのかということのほうが時雨にとって不思議でたまらなかった。
 お茶を飲みながら時雨が疑問に首を傾げていると、突然どこからか男の声が聞こえた。
「私が彼女に伝えたからだ」
「!?」
 時雨がバッと前を振り向くとそこには紅葉の姿があった。
「何で紅葉までいるの……いや、それよりもどこから入って来たの?」
「それは、国家機密の研究に関わる事なので述べる事はできんな」
「はぁ、意味不明だよ」
 頭を抱えて悩む時雨をマナは彼の襟首を掴んでこたつから引き出そうとする。
「時雨ちゃん、早くいくわよぉん」
「ま、待ってよ、せめて剥きかけのみかんを食べてから」
 時雨はこたつにしがみ付き必死に抵抗する。
「寒いから出たくないというのが本音であろう」
 紅葉の鋭い指摘が時雨の胸に突き刺さる。
「ドキッ……違うよ、起きたばっかりでいきなり出かけるなんて言われたから」
 その言葉にマナの鋭い指摘が直ぐに入る。
「起きたばっかりって、今午後の3時よぉん」
 それに続いて紅葉が皮肉を少し込めていう。
「そうか、寒いという理由の他に低血圧というのもあるわけだな」
「それだけじゃないわ、めんどくさがりっていうのもだわぁん」
「なんだよ二人していきなり人の家に押し掛けてきて出かけるとか言っていきなりボクの事外に連れ出そうとしたりなんかしちゃってさぁ人の都合なんて二人とも生まれてから今まで考えた事ないでしょいつもそうなんだボクのこと散々振り回したあげく……あぁーっもういいよ!!」
 時雨は今の言葉を息継ぎ無しで不満をたっぷり込めて言った。が紅葉とマナにあっさりと返されてしまった。
「気が済んだが?」
「じゃあ早く出かけるわよぉん」
「はぁ、もういいよ」
 時雨の全身の力が一気にガクンと抜けた。

 時雨は結局二人に?強引?に連れられて古代遺跡の入り口まで来てしまった。
 遺跡の入り口の前には学者や警察、そして報道陣でごったがえしている。
「はぁ……」
 時雨の気分はかなりブルーだった。
「何でボクがここにこなくちゃいけないの?」
 肩を落とし暗い顔をして時雨は紅葉を上目遣いで見た。そんな時雨を紅葉は冷ややかな目で見てこう言った。
「この遺跡で行方不明者が出たというニュースは知っているな」
「あぁ」
 時雨は気の無い返事を返した。
「昨日付けで私がここの調査の総指揮をすることになった」
「それで、何でボクが呼ばれなきゃいけないのさ」
 マナが突然二人の会話の間に割り込んできた。
「あたしと時雨ちゃんは紅葉ちゃんのサポート役として雇われたのよぉん」
「雇われたって、紅葉がボクらを雇ったの?」
「推薦したのは私だが、雇い主は別にいる」
「誰?」
「帝都政府だ」
 時雨の顔つきが険しくなる。
 理由はわからないが時雨は帝都政府のことをあまり良く思っていないらしい。
「まぁ、古代遺跡の調査となれば当然だろうね、ってそんな話ボク聞いてないよ」
「今、初めて言った」
 今の紅葉の言い草は”それがどうかしたか?”という感じだった。やはり紅葉は自己中心的で他人の都合など考えていいないようだ。
「はぁ……」
 ため息を付き、いつものことだと時雨は諦めることにした。
 遺跡の入り口はビルとビルとの間にある空き地にある。
 新たにここに建てられる筈であったビルは地下10階地上2階建てのビルであったため、工事の際地面を深く掘り進めなくてはならず、その際にこの地下遺跡を発見するという結果に繋がったのだった。この地下遺跡は外界との空間軸が異なっているようで外層面積に比べ中は異常なまでに広いとの専門家たちの報告結果が出されている。

 時雨たちは簡易巨大エレベーターに揺られていた。身体が小刻みに揺れ、下へと降って行く――。
 ガタンという音を立てエレベーターが地面に到着した。
「おおっと」
 時雨があられもない声を出しながらバランスを崩した。
「行くぞ」
 紅葉は時雨のことなど構いもせず足早に歩いて行ってしまった。
「紅葉ちゃ〜ん、待ってぇん」
 マナは空を飛んで彼を追いかけた。