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Journeyman Part-1

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「コワルスキーにも申し訳ないと思っています、彼は僕のアイドルでしたし、こちらに来てからは師とも言うべき存在でした。 彼からスターターの座を奪った時、バンデッツのキッカーはお前に任せたぞとまで言われたんですが、その時はまさか日本にチームが創設されるとは想像もしていませんでしたから……彼には電話しましたが、理解してくれましたよ」

 そこまで言われてはバンデッツのGMも首をお手上げだった。

「仕方がない……日本で頑張ってくれ」
「理解して頂いてありがとうございます」

 アパートに戻った飛鳥は荷造りを始めた。
 元々カリフォルニアと東京の二重生活なので、荷物はそう多くはない。

 5年前、コワルスキーに憧れてテストを受けに来たオークランドの地。
 テストに合格して、初めてコワルスキーに会った時の事、彼の飛距離を間近で見て、そのパワーに驚いたこと、ライバルとして冷たく接されたこと、そして彼が怪我をして自分が代わってフィールドに立った時に貰った、厳しくも的確なアドバイス、彼がチームを離れる時交わした握手の力強さ……これまでの人生のハイライトだった。
 そして、ここのファンは熱狂的な事で知られるが、飛鳥の背番号2のジャージを来て応援してくれるファンも多い。
 そんなファンに支えられて過ごした5年間……様々な思い出が胸をよぎる。
 
 オークランドは第ニの故郷、大切な地ではある。
 しかし、飛鳥は万感の思いを込めてトランクの蓋を閉めた。
 本当の故郷に灯ろうとしている、フットボールの灯を大きく燃やすために。

 アパートを出た飛鳥はタクシーを止めた。

「え? もしかしたらアスカ・ワダ?」
 タクシーを運転していた黒人に声を掛けられた。
 オークランドはいわばサンフランシスコのダウンタウン、黒人の労働者が多い街だ。
「そうだよ」
「もしや、サンダースに?」
「そうなんだ、応援してくれたファンには申し訳ないけど、やっぱり日本にチームが出来るとあっては、どうしても参加したくてね」
「そりゃ当然ですね、うん、サンダースに行っても応援しますよ、あなたは俺たちの誇りだったから……いつまでもオークランドの家族ですよ」
「ありがとう……」
 アスカはそう答えて目を閉じた。
 見慣れたオークランドの街はもう目に焼き付けるまでもなく、心に焼きついている。
 車窓からその街並みが流れて行くのを見ていたら、涙がこぼれてしまいそうだったから。


作品名:Journeyman Part-1 作家名:ST