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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第二話

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某新興国の外交官であるエイブラハムは大阪に住んでいる。
大使館は都内にあるのだが毎日リニア新幹線で通勤していた。昨年末に品川~大阪間が開通して、自宅から大使館まで二時間もかからない距離になっている。
最終列車の品川発で帰ってもその日のうちに自宅に戻れるので、公舎住まいをやめた。

周りからは不便でしょうと言われていたが、大きな理由があった。
内藤が密かに研究している実験室が大阪市内にあり、出資者としてその行方を監視していたい気持ちがそうさせていた。
毎日のように実験室に立ち寄ってから東京へ向かう生活が続いていたが、内藤から梓のことを聞かされ、さらにエイブラハムは事件の真相を話してもらえないかと内藤から頼まれていた。

「梓さん、機体が不安定になった時に機長がすぐ近くの米軍基地への緊急着陸を要請したのです。まだその時点では操縦桿がコントロール下にあったから最悪の事態は回避できたのに、米軍は演習中だということを理由に拒否しました。周回飛行を繰り返しているうちに操縦不能に陥り高度も下がってきて、こともあろうか千数百メートルの高さの山の尾根に墜落しました。アメリカは着陸されて緊急事態の原因が知れてしまうことを恐れたのです。520名の命を犠牲にしたのです」

「記者の方はそのことを書かれていたのですね。私は記憶があいまいなのですが、叔母に強く飛行機事故じゃなく交通事故にしてこれからは生きてゆくようにと聞かされていました。そのことは両親や弟のことを聞かれたくないとの思いがあったのだと考えてきました。もし不都合な何かが自分の周りにあったのだとしたら、そのことが原因で五人目の生き残りと発表されなかったのだと今思いました」

「記者は偶然とはいえあの事故の現場に居合わせたのです。別の取材で墜落現場の近くで泊まっていて、大きな地響きで村の消防隊員らと駆けつけました。信じられない光景の中から一人の生きている女の子を発見しました。それが梓さんです。駆け寄ろうとしたときに、近くに自衛隊員らしき男性が居て何やらオレンジ色の破片を回収していました。記者は人命より大切なのか!と叫びました。顔を合わせると逃げるように去っていったということです」

「そのオレンジ色の何かは自衛隊にとって絶対に回収すべきものだったということですね?私を発見しても無視したことは、もし記者さんたちが現れなかったら命を助けてもらえなかったということになるのですね?」

「その通りです。回収を済ませた自衛隊は地元の捜索隊と何食わぬ顔で救助活動を行ない、4名の生存者を救出しました。そしてあなたの居場所へはある高官が訪ねて行き、引き取った叔母夫婦に頼みごとをしました。何故だかわかりますよね?」

「見たことを黙っておくようにと脅したのですね」