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星の流れに(第一部・東京大空襲)

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「それは真実ね、あたしももちろんそう思う、だけど、営々と積み上げて来たものを力づくで奪う事は正しいこと?」
「それは……」
「日本人に限らないわよ、どこの国のどんな民族だって、祖先からずっと受け継いで来た歴史や文化、仕事や暮らしがある、むざむざ手放せるものじゃない」
「だけど死ぬよりは……植民地化されたからって殺されるわけでもないわけだし」
「う~ん、そこはやっぱり現代の感覚とは違うわね、その頃はまだ人種差別も当たり前だったのよ」
「あ……そうか、それは確かに」
「アパルトヘイト政策が廃止されたのは1994年だったわね」
「良く憶えてるね」
「ええ、時代が変わったなぁって実感したからね」
「でも、1994年か……第二次世界大戦が終わったのは1945年だから」
「大東亜戦争ね……そうよ、五十年近く後……アメリカやヨーロッパの白人にとって、アフリカの黒人や褐色の南米人、黄色い肌のアジア人は野蛮な国の未開人、人間以下の存在だと看做してた、そうでなければ東京で十万人を焼き殺して、広島、長崎に原爆を落とせると思う?」
「それは確かに……」
「アメリカに黒人大統領が誕生した今の時代からは想像付き難いでしょうけどね」
「でも、オバマ大統領の就任演説にもあったよ、父の時代はレストランにも入れてもらえなかったって」
「そうだったわね」
「そうか……動物並みとみなしていたとしたら、植民地って……」
「そう、何もかも奪われた上に、奴隷か家畜のように扱われるなら、一か八かでも戦う他なかったのよ……なんてね、偉そうに言ってるけど、その頃はまだそんなこと考えてもいなかったわ、父親は軍国主義だったし、清やロシアに勝った日本が負けるはずないって単純に思ってたわ、あの戦争の事について色々と考えるようになったのは、二人の姉さんのおかげ、でも、二人の考えを聞いてもまだピンと来てなかったな、自分で色々調べて、やっとその意味がわかるようになったのはもっとずっと後のことね」
 静枝は遠くを見るように視線を上にやり、大きなため息をついて言葉を継いだ。
「静子姉……静子姉がいなかったら、あたしは間違いなく空襲で死んでた、そして静子姉がいなかったらその後も生き延びる事は出来なかった……静子姉は自分の身を削ってまであたしを生かしてくれたの、それが自分の戦いなんだっていつも言ってた……」