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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 因果応報」 最終話

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順子は少し歳上だった。先輩より一つ上と聞いていたから二歳の年齢差だ。30を過ぎているとは全く見えない。典子も美人だが、色気という点では順子の方が勝っていた。

平林と順子はずっと不倫関係を続けていた。
平成三年、空前のバブル景気が失速して、不動産に投資をしていた木下は工場を手放す羽目になってしまった。順子は実家から離婚するように言われて、協議離婚した。

バンドメンバーが経営するパスタ店を手伝うようになった順子は、新しく再婚相手を探し始めていた。もちろん平林との関係は長すぎた春になって終わっていた。
あることがきっかけで木下は平林と会うことになった。そして、二人は順子がいるパスタ店へ向かった。

「先輩、パスタでもいいですよね?」

「ああ、もちろんだよ。知っているところがあるのか?」

「はい、バンドメンバーがやっているんです」

「そうか、そういえば順子もメンバーだったな。今でも続いているのか?」

「もちろんですよ。でも関係は切れましたけど」

「何と言った?いま」

「離婚されたから言いますけど、バンドメンバーになってからずっと順子さんと会っていたんです」

「浮気をしていたということか?あいつ」

「そうですね。どんな気分ですか?解って」

「どんなって・・・お前まさかおれに復讐したのか?」

「何ということを言うんですか!知子は自分から先輩に誘惑されたんですよ。満足したいからって言っていました。順子さんもそれと同じですよ」

「順子がお前に満足させて欲しいと言ったのか?」

「そういうことになりますね。ボクは満足させてあげれなかったけど、順子さんが鍛えてくれて今では自信があるんです。妻はすっかりお母さんになっていますから、ボクの人生はこれから始まるんです」

「今はおまえとおれは反対になっているということか・・・情けないな」

「そこのパスタ店で順子さん働いていますよ。ちょっとって思ったんですが、意地悪でしたかね」

「お前は優しさが売り物だったのに、変わったな」

「女が自分を変えてくれました。これからはボクが女を変える番です」

木下はパスタ店で順子を見て、自分の愚かさを恥じた。
たくさんの女を弄んできたこれは報復なんだろうと。
それに引き替えまじめ一本だった平林は女に目覚め、イキイキとした人生を歩もうとしている。

平林に対して先輩として振る舞えることは今日が最後だと木下は思った。