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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 幽体離脱」 第三話

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目が覚めたおれに母親が抱きついた。

「母さん・・・何をするんだよ」

「修平!良かった気が付いて。怖かっただろう~覚えている?」

「ああ、もちろんだよ。助けられなかったことが悔しいけど」

「あのね、あなたを蹴った人がやめるって言い出して、助かったのよ。そうじゃなければ今頃私は・・・」

「良かったじゃないか。どうしてそうなったのか解らないけど、母さんの貞操が守れてよかった」

「貞操?そうね、そうよね。私のことより勇気出してかばってくれた修平のことが心配でたまらなかった。もしものことがあったらどうしようかって」

「ちょっとお腹の辺りが痛いけど、大丈夫だよ。今日は災難だったね。こんなことが二度とないように母さんはもう少し大人の服装にしなよ」

「うん、短いスカートは止めるわ。懲りちゃった」

「でも・・・きれいに感じたよ。母親におかしいけど」

「修平・・・」

そう言うと再び抱きつかれた。
目の前で泣いている母親は、今まで通りのおれの母親だった。

その夜考え事をしていたのでなかなか寝つけなかった。
幽体離脱する自分が嫌だと思うと眠れなくなる。ひょっとしてこれが心霊仲間と行ったスポットで祟りにあったとするなら、もう一度同じ場所で自分をこんな風にした原因が解るかも知れないと考えるようになった。

母親にメモを残して午前三時過ぎに家を出た。
鍵が掛かっていないお堂の中へ入る。真っ暗な中で神経を研ぎ澄ませていると、魔除けらしい〆縄が巻かれている神木が風もないのにガサガサと音を立てているのが聞こえた。
扉を開けて外に出て、その木の前に立つ。

生温かい風のような流れを感じた。

「教えてくれ。どうしておれは幽体離脱なんかするようになったのか。ここで仲間とふざけていたことで怒りをかったのなら謝る。元の身体に戻してくれないか」

もちろん返事が聞こえるはずもない。
ガサガサという葉を揺らす音だけが相変わらず聞こえる。
何度か声をかけてみたが返事がない。眠気が襲ってきたのでお堂の中で壁にもたれ掛かって目を閉じた。

生身の時には全く見えなかった何かの存在が幽体になった時には見えていた。
直ぐにその存在は大きくなり、顔形がハッキリとしてくる。

「修平、なぜおまえが幽体離脱するのか教えてやろう」

その存在は聞こえる声ではなく、全体で感じられるような感覚で理解できた。