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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 幽体離脱」 第三話

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母親がうずくまっている様子を見て、何とかしなければと気持ちが焦った。

相手の身体と合体できる今のおれはこの自分を気絶させた男に憑りついてもう一人の男が母に乱暴しようとしていることをやめさせようと考えた。
男の身体に入り込む。

「おい、やめないか!」

「はあ?何を言っている。お前が言い出したんだぞ」

「この女はやめるって言っているんだよ。いうこと聞けよ」

「わからん奴だなあ~じゃあ、お前は見ているだけにしろ。車持ってこい」

「いい加減にしろ!」

そう言い放って、母の傍から離れようとしないやつを足蹴にした。
驚いた表情で見返されたが、体格で勝っているので刃向うことはされなかった。

「母親って聞いたからその気にならなくなったのか?」

「そういうところだ」

「ちぇっ、おれは誰でも良かったんだけどな」

うずくまっている母親に大丈夫かと声を掛けた。苦しそうな表情で何とか立ち上がって、倒れているおれの身体を揺り動かした。

「修平!大丈夫・・・修平ってば、返事して!」

「しばらくしたら気が付くからタクシーで家に連れて帰れ」

男にそう言われて心配顔の母親はスマホから検索してタクシー会社に電話を掛けた。これで良いと思ったおれはもう一人の仲間とその場を去った。一時間ほどしないと憑りついた男から離れられないから、あまり遠いところへは行きたくないと思い、近くにあった居酒屋へ誘った。

「悪かったな。おれが奢るから飲もう」

「お前というやつが判らなくなったよ。次は我慢させるなよ」

こんな奴が世の中にいるんだと改めて感じた。母親は心配しているだろうが今しばらくは時間を潰すしかなかった。
そして時間が来た。

テーブルにバタンと伏せてしまった相手を見て、男は肩を揺り動かした。

「どうした?酔った訳でもないだろう?」

目を覚まして自分がここに来ていることが分からなかった。

「女はどうした?何故ここにいるんだ?」

「なにを言っているんだ!お前がやめようと言ったからこうして来ているんだぞ」

「そう言えば誰かがおれの頭の中で叫んでいたな~そのあと自分では身動きできなくなってしまった」

「訳の分からないことを言うなよ。今度はちゃんとしろよ」