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武藤ゆたか
武藤ゆたか
novelistID. 63991
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モニのフクス

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あるぞ。変だった。暗号のように、<サイン>のように、
薄気味悪かった。
 カフェ<フラミンゴ>に入ってみる。天井にはミラーボールが見える。
丸いテーブルが置いてある。
「カフェは落ち着けていいな」
ぼくは、右端のテーブルに座る。メニューを観る。
店員さんに、
「サーモンのバターソテーを一つお願いしまーす」
と注文した。音楽はまったりとジャズかボサノバが
流れている。いい雰囲気だな。ぼくはゆったりしていた。
ペリエも注文した。近くにはないスパークリングの
炭酸飲料だ。ぼくのお気にいりだ。
 店員さんはすぐ持ってきてくれた。僕は鋭利なナイフとフォークで
サーモンを口に運ぶ。
「う、うまい」
味が口の中にひろがりおいしい。値段も手頃だった。そこにナフキンがあった。
周りには誰も観ていない。そのナフキンを取り出しボールペンを
取り出しこう書き留めた。
<インターネット、根幹から規格をかえるみたい、セキュリティーの重大な欠陥がある>
<霊の合理化ってだめだよ。バランスを取り戻さないと、至急>
と書いて、食べ終わった皿の下に、店員さんに伝わる
ようにと書き留めたものを左端の皿の下に隠しておいた。
 突然音楽が変わった。そして救急車のサイレンが轟く。ピーポー、
ピーポー、と死者の行進のように流れる。怖い。怖い。怖い。

 わたしは休日なのに、その日はなんの予定もなかった。
「よーし、渋谷でもいくべ」と呟くとカバンを持って
出かけた。渋谷はなんか華やいでいる。まるで呪いの祭りのように。
「どこ行こうかのー?」
考えたけど気分がワクワクする行動をすることにした。
結局、タワーレコードに向かった。ここには
数々の板がなんでもあった。
 ショップのヘッドホンで視聴しながら、気に入った三枚の
板を一度にレジにだした。なにを買ったかは秘密なのだ。
ふふふ。買っちゃった。そのあとハンズへ向かう。
なんとなくただなんとなく道路を渡り小さな
脇道に入っていく。頭上をカアとカラスが鳴きながら回転して、
飛んでいった。階段を降りていくと、カフェがあった。
「いこっかな」
<フラミンゴ>と書かれてあるカフェに入ることにした。
わたしは右端にすわり、ソファに身体を沈めた。
「ペリエ一つお願いします」店員さんに注文した。
いい雰囲気だ。わたし向き。と思いながら、
ごくっとペリエを飲んだ。おいしい。幸せだなあわたし。
そこにナフキンが置いてあった。
片隅に<エンジョイ>と書かれてある。
 ボールペンをとりだしそのナフキンに漫画を描いた。
<星に住む、王様の絵>だ。書き終わると、左側のお皿の
下にこっそり無造作に忍ばせた。満足して、
帰宅の途につく。エスカレーターを登ると、右側に
パチンコ屋のネオンが見えた。今日はよかったな。と
思いながら、改札前のホールに不気味な絵が大きく
ある。怖い、怖い、怖い。

 ぼくはテレビをつけた。ニュースでは、『スマートフォンの新発売があり、
飛ぶように売れています』『大統領選挙が始まりました』
『交通事故が起こり、また死者が出ました』と報道していた。
「へー、スマートフォン売れてんだ、買ってよかったかもな」
と精霊に囁くと、精霊が応えたように思えた。ところで、
 精霊ってなんだろう?。ぼくにはわからかった。
「ツクヨ、ごはんできたわよー」
と両親が呼んだ。
「はーーい!」と言って食べに向かった。
 なにか多くの、コソコソと小さな囁きが聞こえた気がした。
相談しているような不気味でとても不思議な感覚だった。

 教室でぼーっとして外を眺めていると、やけに青い空が
澄んでいた。この後ろには広大な宇宙がある。
銀河系か、月か、太陽系か。
やっぱり月だろうな。わたしはそんなことを、思っていた。
友達のイワとハナが声をかけてきた。
「なーに、ぼーっとして」
「う、うん。なんで空は蒼いのかなって」
「そんなことより、今年こそは、彼氏つくるぞー」
ハナが言う。
「でも、どうするの?」
とイワが聞く。
「うーん、クラスメイトのあの連中に、声かけようと
思って」
「そうねえ、なかなかかもね、あいつら」
「イザナはどう思う?」
と聞いてきた。
「う、うん、いいんじゃないかな」
私はあまり意識したことがないグループだった。
「らちあかね、いくぞ」
ハナが、男の子たちに、向かって行った。
「ねえ、きみたち、ちょっと相談があるんだけど」
と声をかけた。
「う、うん?なんだ?」
スサノとアマテは戸惑っていた。
「わたーしたちと、デートしない?、結構いけるわよ、
私たち」とハナが言う。
「どうすんのさ」
男のグループの中のスサノが尋ねる。
「そうねえグループで渋谷にいかない?買い物とか食事とか」
「それなら近場でいけるな」アマテが返した。
「よし、決まり!、渋谷に行くわよ。日時もきめちゃお」ハナが言った。
「六月五日の二時に、渋谷モアイ像前集合ね。約束よ」
「わかったよ、強引だけど、おれらもいくわ」
「あんがと!、じゃあ行こう」
その瞬間校庭にいた鳩たちがいっせいに飛び立った。
バタバタッ。バタバタッ。後方には黒いカラスが遅れて
飛び立った。スカルの音がチリーンと唸るように。

 ぼくはテレビを家族で観ていた。
『大統領選挙は、一方的な勝負になりそうです。片方の
陣営が勝利を確信しております。すぐに決まるでしょう』
『今日も人身事故がありました。身体はへしまがり、肉片が飛び散っています』
「つまんねーの、すんなり勝つのか」
そういうとぼくは、学校へ向かった。途中で自然の草花が暖かく
包んでいた。ぼくは葉っぱを拾いポケットに押し込んだ。
なかよくなれますように。そう思った。木々がサワサワと揺れていた。
 教室につくと休み時間になった。ぼくはアマテとスサノと
つるんでいた。
「最近どうよ?」
スサノが聞いてくる。
「ニュースがあるぜ、やっぱりインターネットの規格が根本から、
変わるみたいだ。なんでもセキュリティーが完全なものになるとか」
アマテが言う。
「オレ、旧約聖書読んでたんだけどあれは嘘で、
アダムはリンゴを食べなかったらしいぜ、なんでも楽園から追放されなかったとか」
「おまえら物知りだなあ、おれ何にも知らないよ」
ぼくは仲間たちの物知りに感心していた。
「ねえ、きみたち相談があるんだけど」
いきなり女の子に話しかけられた。スサノが答える。それから話し合った。
ようはグループで渋谷にいくことになった。向こうの
グループを観ると妙に気になる娘がいた。おとなしそうな、
けどなんとも魅力的な雰囲気を醸し出している。
「あのこ、なんていう名前なの?」
ぼくは尋ねてみた。
「あのこはね、イザナっていうんだよ。性格いいわよー」
「そうか、気になったもんで」
そしてぼくらのグループと女の子のグループは
渋谷で落ち合うことになった。
なんかワクワクする。でも不吉な予感も心をよぎる。
「じゃあ、またよろしく」と言ってぼくらは
帰宅した。ぼくの背中に、悪霊が見え隠れするような気配がする。
死神だろうか。感じる。気のせいだといいのだが。
「まあ、なんとかなるんじゃないかな、うまくいくさ」
 ぼくは呟くと、教科書を入れたカバンをしょって、
作品名:モニのフクス 作家名:武藤ゆたか