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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「月ヶ瀬」 第七話

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「感謝します。静子が妻で・・・良かった」

「そうやな。また連絡するわ」

和田は上機嫌で電話を切った。
山崎に手紙を送った会田は和田と月ヶ瀬の駅前で話した後、自転車で役場へ向かい村長と話をしていた。

「あの和田と言う男は例のひき逃げの犯人を捜しに来よっただけと違うように感じたけど、村長にとりあえずそういうことがあったとだけ言いたくて来たんや」

「すまんな。弁護士がまた来たって、どうなっとるんや。車の事故はお蔵入りしとるやろうし、被害者かて保険でぎょうさんお金ももろとるやろ。目的は犯人探しだけと違うって感じたお前の感は当たってるかもな」

「そうやったとして、何を調べに来たんやろ?まさか、誠治の事件の事やないやろな」

「会田さん、誠治の事件ってもう解決しとるやろ。あいつ刑務所で首つりよったさかいに調べるようなことはあらへんがな」

「誠治が公判で喋らんかったことがあるんとちゃうか?」

「公判で喋らんかったこと?あいつは実智子を強姦して、騒がれたから殺したんや。そう自白しとるやろ。何を喋らなあかんことがあるんや?」

「清一さんに聞いたら解るんと違いますか?」

「清一さんに?・・・なんと言うてきくねん」

「新しい弁護士が来て何か調べていると言ったらええのん違いますか?」

「とりあえず、三人で会って話すか?」

「そうですね。それがええかも」

その日の夜、村で一軒しかない居酒屋の二階で、酒を酌み交わしながら三人はヒソヒソ話をしていた。
長い話が終わって、会田は自宅でパソコンを使って山崎宛の手紙を書いていた。
和田が調べて新たに証拠が出てきたことを三人が知らされたのは、巡査が久保家を訪ねた後であった。

御嵩地区の地主、久保家とは久保清一が家主だった。岡崎誠治に殺された被害者、久保実智子の祖父にあたる人物で、いまなお村の実力者でもあった。
作品名:「月ヶ瀬」 第七話 作家名:てっしゅう