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てっしゅう
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「月ヶ瀬」 第七話

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和田の調べはかなり真相に迫っていた。

「そこまで調べたんですね。思いつかなかったな~早くに警察もそうしてくれたらよかったのに。やっぱり何もしようとしなかったんだな」

「そうや、今回は県警が調べたから派出所の巡査も渋々そこの家に行きよったわ。御嵩地区では一番の地主の家やった。久保っていう名前やけどあの辺はみんな久保やからややこしいわ。巡査が言うには、何でも五か月ぐらい前に調子悪くなって買い替えたって言われたらしい。今朝な、県警の名前使って車検証に記載されている販売店を聞いて、そこで下取りに出した前の軽トラックの年式確認したんや。まだ一度の車検も取ってなかった新車みたいな状況で、調子悪いから買い替えるなんてあり得へん」

「良く調べましたね。しかし、警察の名前使うのは違法ですよ」

「ええねん。佐藤の許可取ってあるし」

「本当ですか?仮にも県警の警部でしょう?考えられません」

「あいつの弱み握ってるから大丈夫や。警察官なんていろいろあるんや。簡単に警部なんてなられへん。まあええわ、そんなことは。明日にでも会田と言う男に会って、事の真相聞いてくるわ。絶対に何か知ってると思うからな」

「お義兄さん、余計なことですが十分に気をつけてくださいね。秘密主義のやつらなら何されるかわかりませんよ」

「用心棒連れて行くからええねん」

「用心棒って・・・まさか」

「まさかの佐藤や、ハハハ~手出しは出来んやろ」

「約束されたのですね?」

「ああ、非番やから付きおうたるって。ちょっとはおれの話に興味でも感じたのかも知れんな。事故より本件の依頼者が話した言葉をだがな」

「岡崎誠治の事件は奈良県警総動員とマスコミも加わって、そうとう大きく報道されましたからね。その事件の真相が違うところにあったとしたら、今後の犯罪防止への対抗策となる気がします」

「その通りや。佐藤はまだまだ出世する奴や。今度のおれの依頼も自分の経験のために協力しとる。転んでもただでは起きん奴やから、頼もしいわ」

「警察官にもそういう人物がいるのですね。今回はボクの事件解決と、依頼者の願いが叶えられるような気がしてきました」

「任しとき、友和君を思う静子の気持ちに応えないと、兄として面目ないからな」
作品名:「月ヶ瀬」 第七話 作家名:てっしゅう