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てっしゅう
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novelistID. 29231
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SF小説「かぐや姫」 プロローグ

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そう感じた。スマホを手に119番に電話を掛けた。
反応がない。見ると圏外と表示されている。おかしい、ここは街中で圏外になることは無いはずだ。スマホの電源を切り再起動させる。
状況は変わらなかった。

赤ちゃんは泣いてはいなかったが、苦しそうな表情に見えた。
きっと空気が入らないからだろうとボクは感じた。何とかしないと死んでしまう。
傍にあった石でガラスの部分を割ろうと叩いた。
びくともしない。
何度も何度も叩くがびくともしない。

落ち着いてカプセルの周りを入念に調べてみると、ボタンのようなものが三個ついていた。
わらにもすがる気持ちでそれぞれを押してみる。
開閉スイッチかと思われたが違ったようだ。しかし、やがてカプセルは微振動を起こし、
閉ざされていた窓の部分が開いた。
空気に触れて赤ちゃんは目を覚ました。
当然のように泣き出す。

困った。カプセルを抱かえてとりあえず車に戻って考えた。
警察へ持って行こう。落とし物として届ければどこかで収容して育ててくれるだろう。
助手席に置いたカプセルは赤ちゃんの泣き声と共に何かの信号音が聞こえてくる。
耳を澄ます。

わけの分からない言葉で話しかけてくるので、「何を言っているのか解らない」とつぶやくとピーと鳴った後日本語で答えるように変わった。

「カプセルに入れられているのは私たちの娘です。訳があって避難させました。カプセルはやがて開きます。不要になったカプセルは人目につかないように保管してください。このメッセージを送信しているのは地球ではなく私たちの住んでいる惑星〇△※×◇、失礼あなたの国の言葉で表すと、惑星かぐやです。地球から3光年ほど離れています。詳しくは話せませんが、緊急脱出させる必要があったのです。
地球時間で20年ほど経過すれば娘を迎えに来ますので、それまであなたの子供として大切に育ててください。お願いします。
今度お会いするときにお礼としてあなたの望みは何でも叶えさせていただきます。
このアナウンスは消却されます。今後の通信は一切できません。では、二十年後に再び連絡します」

機械が話しているようなたどたどしい日本語でそう言った後、カプセルは開いた。
何をバカな話をしているんだと思いながら、とりあえず赤ちゃんを取り出した。
可愛い女の子に間違いはなかった。
家に連れて帰ると一人では育てられないので、ここは東京に居る母親か、美加に話をして一緒に子供として育てるか相談しようとまず母親に電話をした。