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社会に不適合な二人の

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幽霊よりも酷い人


 私が小学生の頃、兄や弟と同じ部屋で寝ているときに聞いたことがないような人の話し声が聞こえてきました。弟や兄に聞くと何も聞こえなかったと言い、怖くなって泣き出してしまいました。
 今思えば幻聴か、ただ外の声が兄や弟に聞こえなかっただけでしょう。
 また私は、よく金縛りにあいます。霊的なものではなく一般的に言われる夢を現実が混じって動けないと勘違いする、あれです。頻繁にあいますし、自覚しているのですが、あえば怖いです。
 幽霊もよく見ます。これも幽霊の正体見たり枯れ尾花です。
 私は単純に怖がりなのです。
 そう言う体験を弟も知っています。

 祖母の家に引っ越して、弟に蟲師という漫画を貸した後の話。
 蟲師という漫画には、1話1話の間に作者の近親にあった怪体験が載せられています。
「あのさー、この家に幽霊とか居ないの?」
「え?なんで?」
「蟲師の話が面白かったから。金縛りとかあうんでしょ?」
「あー、この家ではあったことないなあ。」
「あっそう。」

 そして、それから少し日が経ってから金縛りと幽霊にあった後。
「あ、そう言えばこの前金縛りあったよ。」
「それはお前疲れてんだよ。」
「幽霊見たよ。」
「幻覚だろ、ちゃんと休めよ。」
「酷いなあ、本当に酷い。」
 なんでしょう。本当に酷い人です。


――
[蟲師]…漆原友紀先生著の漫画。幽霊や妖怪が蟲になったような話。全てを「蟲の仕業ですな」で説明する。


作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮