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新・覇王伝__蒼剣の舞い【序章】

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プロローグ


 蒼白く灯る蝋燭の側で、男の金色の眸が細められる。
 手にした金縁の鏡にその視線を向けながら、妖しく笑む口許は美しくも不気味。
 「____ついに、見つけたよ」
 男はそういって、鏡面を撫でた。
 「覇王となる為に、お前には役に立って貰うよ」
 鏡に映し出された蒼白い球体に向かい、男は最後に呟いた。
 「今度こそ、邪気に包まれるがいい」
 呪いに満ちた言葉が届いたのか、鏡の中の蒼白い球体は赤く変わっていく。
 同時に、七つの光が飛び去り、一振りの剣が城から消える。七年後、再び一つになる為に、覇王伝説がまた始まる。
          *****
 「陛下__蒼王陛下はどちらに」
 蒼天下、城郭に響く声に青年は肩に掛かる銀髪を掻き上げた。
 「宰相さま、またですか?」
 「白虎どの、またではありません。陛下はもう自由戦士ではないのです。第一あの方は前覇王陛下の___、こうしている間にも脱走されてしまう」
 忙しなく駆け去るこの国の宰相に、青年は苦笑する。
 「___行ったようだな?星宿」
 「ええ。いつもながら、よく続きますね。かくれんぼの趣味があるとは思いませでしたよ、清雅さま。いえ、蒼王陛下」
 木の上から飛び降りた男は、嫌そうに眉を顰めた。
 蒼王___東に位置する小国・蒼国の国主で、七年前まで各地を転戦していた自由戦士だった男である。星宿とは二つ年下で25歳、四獣聖と呼ばれる嘗ての覇王親衛隊と二足の草鞋の変わった王だ。
 その親衛隊は、前覇王死去と覇王家崩壊と同時に解散、今では剣士最高の称号として名を留めているだけだ。
 「嫌味な野郎になったな」
 「誰かと七年もいますからね」
 「ふん」
 腰まである髪を乱暴に掻き上げ、清雅は鼻を鳴らした。
 彼にとっては、蒼王となったのは青天の霹靂であった。四獣聖になったのも意外だったが、突然王に担がれて挙げ句には覇王だと云う。
 縛られる事が嫌いな自由人の清雅は、これまでに何度か城を抜け出した。だがさすがに見捨てる事もできず、彼の脱走は長くて三日。
 故に、星宿も宰相が騒ぐほど気にしてはいない。
 清雅の性格は、側にいた星宿の方がよく知っていたのだ。
 「黒抄がまた何かを云ってきたんですよ、きっと」
 「何を?」