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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 プレイヤーズ・バーに戻って来た私達は今回の反省会をしていた。
「はぁ…… 今日も危なかったね」
 私はため息を零した。
 実際本当にやられるかと思った。
 それは皆も同じ気持ちだった。
 最近はセンリ達に頼り切りだった。
 エキスパート・ランクに上がって魔法使いも強くなってる、その気になればソロでもプレイ可能だ。
 私達は皆でプレイしている、センリの世話になっていられないし、モンスターの中には魔法耐性を持つ者もいる…… それが出て来たらお終いだ。
「だったら武器強化しようよ! 折角エキスパート・ランクなんだし、強くしなきゃ武器が可哀想だよ」
 エミルが席を立って言う。
 すると私達は顔を見合わせて言った。
「そうだよね、武器だって今まで一緒に戦って来たたんだしね」
「古人曰く『駆け馬に鞭』、これから先の事も考えると強い力が必要になる」
「ま、アンタもたまには良い事言うじゃない」
「たまにはじゃ無いモン! たまにはじゃ!」
 エミルは机をバンバン叩いた。
 そんなエミルを見ながら私は苦笑した。

 それから私達は素材回収の為に様々なクエストを受けまくった。
 鉄鉱石よりさらに強力な『剛重石』を手に入れる為に鉄より硬い岩の渓谷ヘビィ・プラントで採掘する『ヘビィ・プラントの採掘』。
 1年中噴火が止む事が無い火山島バース・アイランドに生息するバース・ドレイクを討伐する『火の島の主』。
 ジャングルの大河に棲みつき、鋼鉄より硬い甲羅と触れる者すべてを切断する鋏を持ったギロチン・ロブスターと戦う『大河の処刑人』をクリアし続けた。
 その結果モンスターの部位だけでなく、鉱石、動物、虫に花…… 様々な素材が私達の元に集まった。
 
 それから数日後。
 私達は最後の素材調達クエストに出かけた。
 上下左右どこもかしこも岩壁で、天井から水滴が滴り落ちる薄暗い洞窟の中を私達は松明を片手に進んで行った。
 そんな中、エミルがアイテム画面を開いた。
「ニトロイヤル・ゼリー、チタン・タートルの甲羅、重氷石、ソーラー・フラワー、ダイヤモンド・フィッシュ…… 沢山集まったね」
「ホントね、いよいよ次でお終いだわ」
 レミは言った。
 私達が受けているのは『竜の墓場』と言って、古代の地層からドラゴンの化石を採って来る事だった。
 遥か昔にパラディスの東部に『エンシェント・ドラゴン』と言うドラゴンが住む『エンシェント・バレル』と言う谷があった。
 だけどエンシェント・ドラゴン達は突如絶滅し、地殻変動でエンシェント・バレル自体が崩壊して地に埋もれてしまった。
 それでもドラゴンの化石は強力な武器や防具の素材になると言われ、採掘しに来る人も多いと言う、だが今ではモンスターが棲み付いて冒険者を襲った。
 野太く長い体で地中を掘り進み、円盤状の口から猛毒の溶解液を垂れ流して襲いかかるデス・ワーム。
 暗い洞窟に棲む3本指の両手に鳥の様な逆関節で毛むくじゃらの獣人『ケイブマン』。
 天井に卵型の胴体でぶら下がり、獲物を見つけると先端にある口が胴体ごと真っ二つに分かれて触手を伸ばして捕食するマッド・テンタクルを倒しながら私達は先へ進んだ。
 かまぼこ状の道を進み、石を削った階段を下りて行くと最後のフロアにやって来た。
 左右の岩壁や床などから化石化した竜の骨が露出していた。
 まさに竜の墓場だった。