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ワタリドリ
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それでも太陽は赤く染まる!第18回「歯科検診の焦りと憂鬱!」

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まるで子供をあやすような口調でマスクをした眼鏡が光る怖い表情でひとしの口に歯鏡を突っ込んだ。ひとし、言われたまま不思議そうに院長を見ながら口をあけながら・・・。

ひとし
「ああ~~~。(先生、子供いるのかな!)\(-o-)/」

口にあたる薄いゴム手袋の手の生温かい感触があまり心地よいものに感じられなくて、早くしてくださいと祈るような気持ちで、ひとしはまぶしく近づくライトにゆっくりと目を閉じた。口の開いた間の抜けた顔で・・・。

室内に響く、低音のクラシックのゆったりとしたような曲がずっと流れている。

中野院長、曲とは逆の明るい声で・・・。

中野院長
「上から行きまーす。手前の7から、クラウン出血、Cワン真ん中、6番健全歯、Dが真ん中、5番えんしん、4がきんしん、3がクラウン・・・出血。(''ω'')」
ひとしには、まったくわけのわからない専門用語が宙を舞うように読み上げられて行く。ひとしも心の中で、そこは日本語なんだとか、突っ込みを入れて気を紛らわしていた。(-_-)

院長、テンション変えずに・・・。

中野院長
「じゃ下行って~。左奥から、3、3、3、4、3、4、4、3・・・4、5・・・。Dがマイナス!('ω')」

慣れたように、途中で聞き漏らした所も「4番とPがなんですか?( ̄д ̄)」と動揺もせず聞き返してチェックを用紙に記入して行く無表情の神山。
カランと入口の引き戸が開く音が目を閉じているひとしの耳にこだます。あらたな患者が入ってきたようです。

「以上」とようやくチェックが終了すると、見られている間中、いたる歯にとがった針の棒のようなものであてられていたので歯茎がチクチクと違和感がうっとおしかった。

「お口の中ゆすいでくださ~い。\(^o^)/」とイスを起こされて横にある排水にぺっと吐き出すと真っ赤なたん混じりの液体が流れ出た。
一瞬驚くひとしに院長はマイペースなマスクをつけたままの少し渋めの笑顔で・・・。

中野院長
「う~ん、歯茎が全体的にかなり炎症起こしてますね。きちんと歯ブラシしてる?歯石もだいぶ溜まっているからこれからおそうじしますね。('ω')」

ひとし、その言葉にだいぶ気力が抜けたように力なく・・・。

ひとし
「は、はい・・・。(-_-)」
が、ひとしがぐったりと再びイスにもたれかかるとカウンターから神山の声が・・・。

神山
「先生、業者の方が早く来られてしまったみたいですけど、どうされましょう!( ̄〇 ̄)」

院長、なんのためらいもなく・・・。

中野院長
「今行くから待っててもらって!じゃあ後は、あちらの神山が担当するから、痛かったら無理しないで遠慮なく言ってね・・・。(^◇^)」

ひとし、えっ、ととっさ的の反応で・・・。

ひとし
「さっきの受付の人ですか?Σ(゚Д゚)」

院長、悪意の様子もなく・・・。

院長
「そう。ちゃんと歯石除去の資格持ってるから安心して!経験浅いけど彼女の方が潔癖でしっかりと汚れも取ってくれるから大丈夫だからね。ちゃんと歯ブラシの指導も、もらってね。(^ω^)」

笑えないジョークのような無神経で冷っとする言葉を残すようにそのまま院長がカウンターの方に行ってしまうと入れ替わりにマスクを結びながら神山がやってきた。

神山、やはり事務的で笑みもほとんどない眼鏡の奥に映る無表情の目がさらに怖さをそそる。自信たっぷりな口調で・・・。

神山
「それでは、これから歯石の方取って行きたいと思いますので、気分が悪くなったりした時は早めに言ってください。倒します。( ̄д ̄)」

ひとしの言葉も待たずに背もたれを倒してたんたんと作業に取り掛かかろうとする神山。
再び目をぎゅっとつむり、言われるまま口を開けるとまぶしいライトの中、掃除機のような吸い込むバキュームととがった鋭い金属音のする器具が近づいてきた。そしてひとしの歯にあたった瞬間キュイ~ンと耳が変になりそうな金属音が、地味に室内に流れていたクラッシック音を全部かき消してしまった。

ひとし、口を開けてさらにひきつった間抜け顔で心の中でさけぶように・・・。

ひとし
「(いった~い!そこもういいから次にうつってよ!穴が開いちゃいそう。いい~~~っ。)( ノД`)シクシク…\(☆〇☆)/!」

神山、少しも表情を崩さず強めの口調で・・・。

神山
「動かないでください。間違って関係ない所削っても、痛い思いするの自分ですよ!(⊳Д⊲)」

ひとし
「(十分痛いですうう~~~~う。もうやめてえ~~~。)( ノД`)シクシク…\(☆Д☆)/!」

ひとつずつの歯を削るのにかなりの時間をかけられて、響いてくる痛さがたまらなくついそわそわしてしまうひとしの心の願望も虚しくすべてキュイーンとするどい金属音の中へとかき消されて行った。

途中で口をゆすぐ度、物凄い量の血液が排水に流れ出たがもはやひとしには驚きよりもぐったり感の方が強かった。(-_-)やがて糸ようじみたいな感触のもので歯の至る処の隙間に無理やり押し込むようにガシガシと磨かれ、グリーンガムのようなスースーする香りのする液体を歯全体に塗られて新たなドリルのような器具でマッサージされ終わるとモニターの数字の時計がすでに9時56分をまわる所だった。ひとしにとって地獄のように長く感じられた時間がようやくまくを閉じた。

ひとし、(完全に習字に間に合わないなこりゃ~!((+_+)))と深く息を吐きながら力尽きたようにもたれると、神山もどこか不機嫌そうな表情でマスクを外してひとしを軽蔑するような顔で・・・。

神山
「あんまりというか、全然みがけてませんね。朝食べられた小麦粉のような食べかすもそのまま歯に挟まって残ってたみたいですし。どこを磨かれてるんですか、いつも!大出血ですよ!(⊳Д⊲)」

ひとし、歯に響いた痛みの余韻が残りすぎてさらに金属音で頭もふらふらで思考回路も回らずに話す気力もなく心で反抗するように・・・。

ひとし
「(ちゃんとみがいていますよ、寝る前にですけど。(-_-)今日はめずらしく朝もぴかぴかにしてきたし。失礼にもほどがあるよ。後、小麦粉はきっとパンです。)」

神山、ひとしの無言の反応に気にせず話し続ける。

神山
「虫歯になりかかっている歯も沢山ありますし。このままですと全体の歯があと10年もつかどうかもわかりませんよ。歯茎もだいぶ赤く腫れて悲鳴あげてるみたいですし、服部さんまだ若いですけど限りなく歯周病が進んでる状態ですよこれは。!\(⊳Д⊲)/」

ひとし、皮肉っぽくも現実っぽい神山の強い口調にドキッとして波に押されるようにあっけに取られて生返事を返すように心が焦りだして。

ひとし
「は、はあ~・・・。(歯茎の悲鳴ってちょっと怖いけど聞いてみたいかも、ていうか僕の歯そんなにやばい状況なの?Σ(゚Д゚))」

神山、ひとしの反応も気にせず眉間にしわを寄せたまま、面倒くさそうに壁側にあった薄いテレビ画面のモニターを引っ張り出してお説教のような口調で・・・。

神山