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ワタリドリ
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novelistID. 54908
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それでも太陽は赤く染まる!第18回「歯科検診の焦りと憂鬱!」

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第18回「歯科検診の焦りと憂鬱!」

姉の美穂と途中で出くわした彼氏を含めた職場に向かう同僚たちを見守ると、ひとしはすばやく自転車にまたがると美穂とは反対の歯医者のある細道に向かって走って行った。
左右にビニールの桜が飾られたさびれた商店街をぬけるとすぐ横に中野歯科と真新しく黒い太字で書かれた看板が見える。
ひとし、「看板塗り替えたかな!(◎_◎;)」と自転車を降りて止めようとした駐輪所も去年からたった3ヶ月ぐらいでずいぶん広く改装されていた。もちろん二階建ての建物自体もリフレッシュされて見えるせいかどっしりとした風格が漂っていた。お客もまばらでぱっとしない以前の面影はまったく感じられなかった。

ひとしはそわそわと新鮮になった建物を少しの間かたずを飲むように見渡すと、見た目はそのままだけど、きれいになった引き戸をゆっくりと開いて入っていった。
カウンターの受付の場所も丁寧に整頓されて、整えられていた。以前は書類や本が積み上げられていてとてもカウンターとは思えなかった。だけど不快感な緊張の走る室内に広がるような歯医者独特の嫌味な香りはそのままだった。(-_-)

チュイーンとするどい歯を削るようなするどい金属音のなか、引き戸に付けられたやんわりとした鈴の音に反応してかカウンターの奥から1人の助手らしき女性が顔をだした。
黒く長い髪を後ろで結んだ眼鏡の女性。20代後半ぐらいか、姉の美穂よりは年上な風格が際立ってみえた。しかも結構巨乳である。(◎_◎;)

眼鏡の女性、慣れたような対応で・・・。

眼鏡の女性
「おはようございます。初めての方ですか?( ̄〇 ̄)」

あまり歓迎されていないような、少し早口でまゆを曇らすようなしゃべり方にひとしはあせるように緊張して・・・。

ひとし
「あの、定期健診のハガキが久しぶりに来てて、前から通ってる服部ですけど、初めて見たいなものです。だいじょうぶですか?Σ(゚Д゚)」

診察券を出しながらついあせってしまって、上手く日本語が出てこないひとし。

眼鏡の女性、動揺もせずマイペースなたんたんとした口調のまま・・・。

眼鏡の女性
「それだと、たかし先生の時の患者さんですか?今年から息子さんの代に替わって、あちらの先生は予約がないとほとんど外出されていないんですよ。どうしましょうか!( ̄д ̄)」

ひとし、息子さんや新しく雇われた美人!の助手さん(微妙だったけど!)の事は母から聞かされてだいたい知っていたが、「どうしましょうと言われても!(-_-)」つい反応に困ったすえ・・・。

ひとし
「あ、あの。新しい先生で!息子さんにお願いできますか?(◎o◎)」

眼鏡の女性、あまり表情も変わらずに事務的な口調のままで・・・。

眼鏡の女性
「息子の院長先生でよろしいですか?それでは久しぶりという事みたいなのでこちらのアンケートを書きながらあちらの椅子にかけて待っててもらってもいいですか!あと保険証もお願いします。( ̄д ̄)」

てきぱきとボードにはさんだプリントとボールペンをひとしに手渡すと眼鏡の女性はすぐ横の引き出しから患者の書類らしきぎっしりと分厚いファイルを取り出しながら確認をするように・・・。

眼鏡の女性
「それからどの道、こちらに来られる時は予約の電話を入れてからお願いしますね。去年まではどうだったのか知りませんけど、次回からは必ず。今日はたまたま予約の方が少なかったからよかったですけど。定期健診でよろしかったですね。服部さん下のお名前は、( ̄д ̄)」

ひとし、出かけぎりぎりに姉に久しぶりの診察ならもって行くのが常識でしょとさんざん嫌味のように言われた、保険証をため息まじりに出しながら・・・。

ひとし
「ひとしです・・・。(-_-)」

不意に眼鏡の女性の胸のあたりについたネームプレートの漢字と読み仮名がちらっと目に入って、ひとしはそのまま待合室のすぐ隣りの奥に並べられた一番手前の椅子に腰かける。

ひとし
「神山、かみやま。神様のいる山から来た人なのかな、天国とか!そのわりには癒し系っぽい雰囲気もないし。どうでもいいけど。(-_-)」

ひとし、くだらない独り言をつぶやくように間食はしますか?等、渡された質問の書かれたアンケート用紙にボールペンを走らせる。

南向きの大きめの窓ガラスのせいか日当たりがよく大きな鉢植えの植物の香りが落ち着きを放ってくれているようだ。
気づかないくらいの音量のクラッシックのようなゆったりとした曲がながれるなか治療室から響き渡るキュイーンと嫌な音を聞きながらふいにかべにある時計の針に目をやると。9時45分ちょうどをさしていた。

ひとし、ちょっとあせったように心の中で・・・。

ひとし
「(いつのまにこんな時間。お姉ちゃんとしゃべって歩いてたのがまずかったかな・・・。習字始まっちゃうよ。)Σ(゚Д゚)」

だがひとしの願いが通じてかちょうどタイミングよく治療室の音がやんで患者さんらしき影が立ちあがった。

ひとし、その様子に急にほっとしたように心のなかで微笑んで・・・。

ひとし
「さすがに今日はついてるかな。昨日はほんとさんざんだったから。何とか制度で治療費いらないのは嬉しいけど。今日はもっと良い事沢山あってくれないと・・・。(-_-)」

少し調子になりかけてると中から「ありがとうございました」とやわらいだ声の中年らしき女性が出てきた。

中年らしき女性、ひとしとちょうど目があうと軽く笑顔で会釈をしてひとしもつられたように会釈を返した。そのままカウンター方に向かう女性の背中を見守っていると、中から「服部さん、入ってください!」と聞きなれないやさしい男の声がした。
ひとし、すぐに「はい!」とせまる時間を気にするように書道具を手に中へ入って行く。
前と変わらず左右にふたつ並んだ治療の椅子。以前のたかし先生とは親子とはあまりにつかない丈夫そうな体格をしていたが、眼鏡をかけたほんのりとした空気は不思議と似ていた。30代後半くらいだろうか。

眼鏡の男性、治療器具を準備しながらひとしをみると自然と笑いかけるようなていねいな口調で・・・。

眼鏡の男性
「初めまして、院長の中野です。服部さんは僕の父の時からの患者さんと先ほどお聞きしましたが、今年からほぼ父に変わって様々な治療の方を私が務めさせていただきたいと思います。まあ、どうしても父の方がいいとおっしゃるのであれば可能ですけど、その辺は大丈夫ですかね。(^ω^)」

そう言って軽く笑顔をつくられるとひとしも何も言えなく「はい」と手前の右の椅子の下に書道具のかばんを置いて腰かけながら、つられて返してしまう。
すると、(眼鏡の男性)院長の中野はさっきのかたっ苦しいあいさつとはうってかわって明るい声で・・・。

中野院長
「じゃあ~。定期健診とゆう事なので、ざっとみさせてもらいますね。イス倒しま~す。\(^o^)/」
自動に背もたれが倒れると、さっきの受付にいた眼鏡の女性(神山)がささっと大きな前掛けをつけてくれた。

中野院長
「口開けてくださ~い。\(^o^)/」