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HAPPY BLUE SKY 中編

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俺は思わずカッジュに拍手を贈った。拍手を贈るぐらい、カッジュの【左回し蹴り】が某国のエージェントに鮮やかに決まったからだ。また俺の横のTOP4人も同様に拍手とどよめきの声を上げた。
「素晴らしいぃ!カッジュはやっぱ左だな」
「うん!右もキレがあるけどさ。カッジュは左が強いですね」
「自分では右が利き腕・利き足って言ってるけどさ」
「だから、左はそれ以上に鍛えるんだって」

俺はイヤホンマイクに向かって【ピッピッ】と口笛を吹いた。次の瞬間‥カッジュの両足が地面から浮いた。そして男の顎を左足で蹴り上げた‥男は2m先にあった電柱に激突した。この頃は【吐かせ】もカッジュがやっている。ツィンダーとヨルは横でエージェントに睨みを効かせている。この二人も、カッジュが実習に来てから【女に負けたくない】と思ったのか、トレーニングで自らを鍛えた。またカッジュにも【武道】の技を教えてもらい、おかげでこの二人も随分と強くなった。

おや‥エージェント今になって、カッジュが【女】だとわかったようだ。カッジュは捕り物の時はブラックのキャップを目深に被っている。服装もストレッチタイプのボトムにスポーツメーカーのジャージジャケットを着ていた。それもブラックだ‥そんな姿のカッジュは、一見【細身の男】に見えるカッジュだ。エージェントはカッジュが女だとわかり、態度を変えた。
「な‥何でオンナのお前に口を割らないといけない!口を割ったら俺の一生の恥だ!ましてやガキみたいな顔しやがって」
あぁ‥知らねぇぞ。カッジュの嫌いな言葉を吐きやがって。俺とTOP4人は胸の前でクロスを切った。またツィンダーとヨルも‥眉間に指を置いて深いため息をついた。

俺の目の前では‥口から血泡を吐いたエージェントが倒れていた。カッジュは自分のスニーカーを脱いで、スニーカーでエージェントの頬を1発叩いたのだが。もう‥おわかりだろう。怒りが超MAXに達したカッジュのパワーは凄まじかったのだ。エージェントの男は殴られた衝撃で歯を3本折った。吐き出された血泡の中に歯が3本転がっていた。それで、カッジュの怒りが静まったワケじゃなかった。カッジュは男の腹に左手の拳を当ててこう言った。

「ね‥今度は肋骨3本折っていいかな?その次は右手指3本‥左手指3本も。足の指も折ってもいい?某国のエージェントさん!ガキで悪かったな!女にやられたら一生の恥だって?っざけっじゃないよ!!ボスぅ!やっちゃっていいですか?コイツ嫌い!」

うーん (-_-;) 許可していいものか。俺は横のTOP4人に意見を求めたが。4人は指で【1】を示した。【3】はやりすぎって意味だな。
「カッジュ!【1】で止めとけ。お怒りはわかるけど、ご褒美の物をスタンダードに変更するぞ。食べたかったんだろう?食べたかったら言う事を利け」

俺の言葉に‥エージェントの男の腹に置いていたカッジュの拳は引っ込んだ。そして今度はレザーのグローブをつけて、男の右手人差し指を軽くひねった。指をひねられた男は絶叫とも言える叫び声を上げたのは言うまでもない。カッジュの【軽く】は普通の【軽く】ではないからな。男は人差し指をカッジュに折られていた。

アーノルド主任がテーブルに置いてあった紙ナフキンで、カッジュの頬についたホイップクリームを軽く拭き取った。カッジュは食べるのに夢中で気づいてない。隣にいたビリー副主任が口に手を当てて笑っている。他のTOP2人も同様だ‥
「カッジュ!ホント‥スィーツには目がないんだな。特にストロベリー」
「またさぁ‥2杯も食べるなよな。アーノルド主任‥紙ナフキン足りるのか?反対側の頬にはチョコレートついてるぞ」
「足りないかもな。すみません!紙ナフキンください!」
カフェテリアのスタッフに声をかけた。

俺はカッジュが1杯目のパフェを美味しそうに食べるのは普通に見ていた。でも2杯目を食べてる時から、無意識に口に手を当てていた。
「か‥カッジュ!おまえ気持ち悪くならんのか?そのデラックス・パフェのホイップはスタンダードの2倍入ってるんだぞ。チョコだって‥アイスクリームだって」

カッジュはスプーンについたホイップを軽く舐めて言った。
「全然平気です。ボスぅ‥カッジュはアレも食べたいです。食べてもいいですか?」
その言葉に男4人は口を手で押えた。

部室に帰ってしばらくすると、今度はキッチンからツィンダーとヨルの痛がる声が聞こえた。部員達はもう慣れてしまったのか。
「ほっとけ!どうせカッジュが勝つんだ」
「ツィンダーもヨルも学習能力ないよな。カッジュにパワーで勝てるもんか」
誰もキッチンに行かず、デスクのチェアーに座ったきり動かないのだ。

キッチンから出てきたカッジュの手にはサブレが5枚握られていた。そして、俺の顔を見て言った。
「カッジュは悪くないです。元はカッジュがもらったサブレですよ!それにボスが買ってくれたクッキーまで分けろって言われたから。だから軽く手首ひねっただけです」
「お‥おまえの軽くは軽くじゃない!いい加減にしろぉ!このガキんちょ・カッジュ」
思わず怒ってしまった俺だった。でも俺が怒っても、後ろの部員達は口に手を当てて笑ってやがる。これももう‥部員達の中では【慣れっこ】になっているようだ。
作品名:HAPPY BLUE SKY 中編 作家名:楓 美風