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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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孤独たちの水底 探偵奇談12

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好きだと言われれば、それはもう相手が自分を特別な存在として認識してくれているということではないか。誰かの特別になれるのは、誰にとっても嬉しいことだと思う。自分に価値があるのだと、そう思わせてくれるから。

「そ…うなの?ちょっと意外…」
「まあ長続きしないのは事実だけどね…」

いつも、こちらが相手を好きになる前に振られてしまうのだ。想像してたのと違った、みたいなことを言われて。

「自分自身の本質を理解して好きになってもらえなかったってことだから、結構つらいんだよ。でもいつか、ちゃんと本当の俺ごと好きになってくれるひとができるまで、俺は探すつもりだけどね、運命のひとを」

郁は少し戸惑った後、ごめんねと言った。

「誤解してた、颯馬くんのこと。誰でもいいんだって、思ってた…」
「いいよ。誤解されても仕方ないと思ってるし」

でもごめんね、と郁は重ねて詫びるのだった。その横顔がちょっとかわいく見えて、颯馬は意地悪を言ってみたくなる。

「郁ちゃんは、瑞くんを好きでしょ?」
「……」

郁は答えずうつむいたままだが、その横顔には明らかな動揺が見て取れた。あ、なんかむかつく。頭によぎる、須丸瑞のクールなまなざし。颯馬はちくりとする胸の痛みをそのまま言葉にしてみる。

「郁ちゃん、俺を好きになったら?」
「え…?」
「そしたら俺も、郁ちゃんを好きになるよ。今よりもっと」

顔を上げてこちらを凝視する郁の顔を、じっと正面から見つめてみる。薄暗い空間でも、その顔が上気するのがわかった。

(…なんか悔しいんだもん。あのモテ男め)

自分からこんなことを女の子に言うのは、たぶん初めてだ。それほどまでに颯馬を動かすのは、郁の心を捉えて離さない瑞への対抗心なのだと思う。そして、けなげな郁をかわいいと思うから。いつも一生懸命で、いい子なのだ。優しいし、前向きだし。