詩②
はじめまして お母さん
僕の目は まだ霞んでいます
もう少ししたら 見えるようになるでしょう
初めて目にするその表情が 少しでも笑顔でありますように
僕の仕事は泣くことらしいです
多少五月蠅いかもしれません
でも それしか存在を主張できないから
多めに見て下さい お母さん
早く言葉を与えてほしいな 神様
こんな仕事 もう飽いてしまった
不安気なその横顔に 表情筋が壊れていく
たった五文字を 声に出来ない
可愛い子 愛をたっぷりと含ませて
魔法の様に 心に注いでくれました
僕の仕事は次第に減りました
代わりに表現が増えていった
お母さん 嘘みたいだけど 覚えてるんです
僕に降り注いだ あの日の雨
世界一幸せ と涙と共に見せた笑顔
産まれて来れて良かった 一緒に流した雫
たったこれだけの軌跡が こんなにも刻まれている
充分すぎる程 あなたに愛されたよ
ありがとう 使い古すほどに伝えられたよ
例えどんな結末でも お母さん お母さん
産まれて来れてよかった 世界一幸せです