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ノベリストのアクセス事情に宣戦布告

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ノベリストのアクセス事情に宣戦布告!!

 もう僕は決めた。暴露してやる。それというのもノベリストの不正アクセス。
 以前僕が週間ランキングで三位に入ったとき、一位と二位の作家の不自然なアクセス。深夜の十二時から一時にかけて0アクセス。そして一時を回り、一時五分くらいにアクセスを見たら、たった五分の間に99アクセス。って十二時から一時に0アクセスで、深夜一時に数分で99アクセスだよ。
 実はほかにも意外とみんなが知っているようで、知られていない事実を暴露してやる。
 それをどこから説明してよいことやら。僕には話したいことがいっぱいあってね。でも僕の周りで誰も僕の話を最後まで聴いてくれる人がいないんだ。
 芸能人のTと僕のつながりのことも話したいしね。世間を騒がせたくないけど。

 僕は毎日十二時にスーパーのバイトが終わると、家に帰って、アクセスを稼ぐため他人の小説を読むんだ。そしてコメントを入れる。毎日深夜の三時までだよ。こんな僕の努力も水の泡になるから、不正アクセスはいわば犯罪だと思うよ。
 僕のスーパーのバイトは夕方五時が僕の入りで、深夜の十一時閉店でその後、雑務で深夜十二時に終わる。
「なんでいつも眠そうに出勤してくるの?」
「こないだの発注ミス、ことの重大さを分かってる?」
 そう店長に、怒られるのも、みんなノベリストの不正アクセスが原因だよ。
 店長はよく本社に行くんだけど、僕はパソコンが得意だから、
「本社でなら働けます」って言ったら、みんなから反感を食らいまくってね。
「それだから君に昼間の仕事を任せられないんだ。夜は人がいないから、しょうがなく任せているだけで」
 僕はその後も真面目にアクセスを稼ぐためにパソコンにかじりついたんだけど、もう何もかも嫌になってね。僕は友達と出かけたりすることはないし、芸能人のTと挨拶もせず、自転車で旅に出ることに決めたんだ。貯金は八十万くらいあったしね。
 バイトの店長に、「しばらく休みます。休みが取れないなら辞めます」って言ってね。向こうは勝手にしろって感じだったよ。
 僕は三カ月分の家賃を払って、自転車で旅に出たんだ。東京の中野のアパートから、ひたすら西へ。西へ。これも不正アクセスが世の中でどう取られているか調査するためにね。自転車と寝袋で毎日少しずつ、西へ向かっていった。そして名古屋に着いた。
 そして街の人に聞いたんだ。
「ノベリストってサイト知ってますか?」って。
「聞いたことのあるような。ないような」
「僕のそのノベリストのサイトのgreen teaって作家なんです」
「はあ?」
「週間ランキングに三位に入ったことがあって一週間に二百アクセス。そのときの一位と二位のアクセスの仕方が……」
 向こうは面倒くさそうに立ち去って行った。ほかの街の人にも
「ノベリストのgreen teaって知ってますか?」って聞いても、
「知らない」ってね。
「green teaって作家」
「ああ、通販のお茶の?」って。
 今小説の話をしているのに、これには呆れたね。

 名古屋に二週間くらい滞在したけど、名古屋じゃ話にならないし、警察には職務質問されるし、僕は大阪まで自転車で走ったんだ。大阪の街もみんな話にならないね。
「知らん」
とか、僕を無視する人もたくさんいるんだ。一週間に二百アクセスいったことを話しても誰も驚かないんだ。馬鹿にしてるよ。小説は高尚な趣味だよ。分かってないね。
 一週間に二回くらいネットカフェでシャワーを浴びて、寝袋で寝るんだけど、僕はお金を無駄遣いしないように、コンビニでおにぎりしか買わないんだ。おにぎりと水。湧水のスポットをネットで調べて、スポットでペットボトルに水を入れて飲む。おにぎりと水だけの生活が東京を出発してから一カ月くらいたった。

 あるとき街で二十歳くらいの男性に
「ノベリストってサイト知ってますか?」って聞いたら、
「ああ、電子書籍の?」
 ってやっと知っている人が現れたんだ。
「僕green teaって作家です」って言ったけど向こうは知らなくてね。
「最新の小説undressedこれやね。0アクセスになってはるから、1アクセスおしておきますわ」向こうはおしたね。
 そういうことを求めてるんじゃないよ。僕は、
「読んでくれますか?」って言ったら、
「時間があったら」って言って、最後はまた面倒くさそうに立ち去って行った。

 僕は夜道を歩いているとソープランドの客引きが僕を誘うんだ。僕はその気はないけど誰かと話だけでもしたい気分だったんで、店に入ったんだ。もちろんその気はないよ。僕は普段から、アダルトビデオも観ない。水着のDVDまでしか観ないよ。
 店に入って女の子と座り僕はノベリストのことと、自分がgreen teaだって名乗ったんだ。向こうは知らなかったけどね。
 向こうは、
「ビールは?」と聞くから、僕はここ一カ月水とおにぎりしか食べてないことを言うと、
「それじゃあ、病気になっちゃうやん。まあいいわ。ねえ、ズボン脱いで」
 って言うからね。
僕は話をしにきたんだってことを伝えてね。そうしたら
「私次の仕事があるねん」って言ってね。
「ここは一時間いられるって、お金は先に払ったじゃないか、話だけでも」
 そう言ったんだけど、
「話は聞いたねん。あなたの小説、素敵や」
「まだ読んでないだろ」
「読んでなくても分かるわ。一週間に二千アクセスやっけ?」
「二百アクセスだよ」
 僕は女の子にいろいろ言ってもね。
「ちょっと待って」って向こうは言って、このソープランドのオーナーみたいな人を連れてきたんだ。こわもての顔をした。
「一時間の約束じゃ」
 僕が言っても、
「じゃあオプション料金として追加一万円お願いします」ってね。「話が違うだろ」って僕は言ったけど、ひどいもんだね。最後はほとんどヤクザだよ。ヤクザの商売さ。僕は最初の一万円以外は払いたくないから、店を出て路地を歩いて、離れたところで、
「バーカ」って言って走って逃げたね。
 追いかけてくるかも確かめず、後ろを見ないまま、必死で逃げたよ。