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四月十四日の花束

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 彼女の家は翌日の余震には到底耐え切れなかった……しかし、逆に言えばよくぞ本震には耐えてくれたものだと思う。

 そしてあの花束は避難所になった体育館で、花瓶に生けられて大事にされた。
 度重なる余震の際も誰かしら花瓶が倒れないように支えてくれたのだそうだ。
 必要最小限のものさえ不足するような状況でも、人の心の支えとなるものは必要だ。
 そのつもりで用意したものではなかったが、結果的にあの花束は避難所で不安な生活を送る人たちの支えになってくれたのだと思うと、あの時、迷いながらも原付の籠に放り込んで本当に良かったと思う。


  
 あれから一年。
 彼女たち親子三人は未だにアパート暮らしを続けているが、俺は他の誰にも渡したくない図面を抱えている。
 彼女の家を二世帯住宅に建て直すための設計図だ。

 実は震災前に兄貴の結婚が決まっていて、俺の実家に同居する予定だったんだ。
 俺はどのみち実家からは追い出されることになっていたというわけさ、自分で設計した二世帯住宅に住めるのなら何の不足もない。

 設計はもうあらかた出来ていて、細かい造作の詳細図があと少し残っているだけ、建築確認は既に取ってあるし、工務店との打ち合わせも進んでいて、見積書ももう貰ってある、新居が完成するのは九月一杯の予定だ。
 この工期ばかりはきっちりと守ってもらわないと困るんだ、なぜって、十月には俺達の結婚式が控えているんでね……。
作品名:四月十四日の花束 作家名:ST