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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第四十三話

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「真珠湾攻撃の後の日本のように、ヒトラーが誕生した当初のドイツは熱狂的になっていたことでしょうね」

「そうね、ヒトラーが独裁者じゃなければナチスドイツは勝利したかも知れない。日本と違ってヨーロッパ大陸には資源も豊富だし、敵に攻撃されても重要な戦略工場などは各地に分散できるから、一か所の全滅でも再起は可能になる。日本は国土が狭いからアメリカの絨毯爆撃でほとんどの都市機能が失われ、工場も壊滅状態になって物資が調達できなくなりアメリカと戦えなくなっていった。もちろん鉄鉱石や石油資源も無かったしね。鍋や釜、お寺の鐘を集めて溶かして砲弾を作っていたから、精度も悪かったし、十分に機能しなくて暴発したりした」

「鍋や釜で大砲の玉を作っていたのですか?」

「輸入できなくなっていたからね。国家総動員法で物資はすべて政府のコントロール下に置かれていたの。もちろん食べるものも着るものも。さらに言うとね、大人は工場の技術者たちも徴兵されて戦場に行っていたから、中学生(旧制)も駆り出され、砲弾工場の検品なんかをやらされた。プロじゃないから見落とすこともあって、それが原因でゼロ戦の翼の機関砲内で亀裂の入った銃弾を装填したことで、暴発し墜落したこともあったの」

「なんと言う事ですか!酷い。日本は早い段階で降伏すべきでした。女性たちは竹やりで敵と戦う訓練を受けていたとも聞いています。もう根性論以外の何ものでもないですね」

「高木くん、そうなのよね。言い方悪いけど昭和に入ってからの軍部や政府の指導者たちにはその能力を疑うわ。日露戦争の時は伊藤博文がアメリカを仲立ちに戦争を終わらせようと話をしていて始めたから、あのように終わらせることが出来たの。たとえば車を運転する人は事故の場合に備えて保険を掛けるわよね。自分が起こした事故の責任を相手側に保障すると言う事で納得してもらう。もし、何もしないで、放置したら訴えられて下手したら逮捕される。そのあとで弁解しても罪は許されない。これと一緒よ。
国家として戦争行為を外交として行うとしたら、国家総動員体制で、政治家と軍人と経済的な専門家とであらゆる想定を試算して、勝てると判断して実行するのが本筋。
窮鼠が一瞬猫を噛んでも、そのあと噛み殺される。だから、負けると試算したら戦争ではない方法で解決を図るべきなのよね」

「太平洋戦争では、どう試算しても勝てないと山本五十六が進言しても聞き入れてもらえなかったんですよね?なので、彼は連合艦隊司令長官に降格されて、否が応にも最前線に送られた。その時点で大本営のやり方に疑問を感じますね。無謀な真珠湾攻撃の作戦だったと思います」

「うん、高木くんの指摘は正しいと思うわ。その後に大本営が戦果のうその報告を国民に流し、マスコミもそれに乗じて戦意高揚を搔き立てた。戦後に手のひらを反すように軍部の責任を追及し出した新聞社や報道関係は、まず自分たちの姿勢を反省すべきだったけど、占領したGHQの指導がそうさせたのかも知れないわね」

美穂の歴史授業はいよいよ太平洋戦争の総論に入って行く。

『予告』

次回が最終回となります。引き続きまして、「歴女先生教えて~パート2」として
美穂先生が世界史の歴史の授業を看護学校の女子生徒に授業する物語を書いてゆきます。

生徒たちの家庭環境や恋愛事情、美穂の渾身の世界史の授業を引き続きお楽しみ頂ければ嬉しく思います。