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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第四十三話

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日露戦争の例を出して美穂は日本の指導者たちが間違った方向へと進む懸念を話した。
明治維新から続く日本が歩んできた道は諸外国に負けないとする富国強兵の道であった。政府関係者のほぼ半数の人材が欧米に学び、日本の政治、経済両面で活躍したことは諸外国から見れば驚異の進歩だった。

何故日本はこれほどまでの発展が出来たのだろう。
ペリーが黒船で来日したのが1853年。日露戦争が1904年に始まったから、その間わずかに51年。明治維新から数えると37年。徳川幕府が手も足も出なかったイギリスやフランス、ロシアやアメリカと肩を並べてこれほどの短期間に巨大な軍事大国にのし上がっていたことは、列強国の植民地にされない、対等に付き合うというスローガンの帰結であった。

アジアの国で唯一白人列強国のロシアを形の上で破ったことは、世界から注目され日本が国際連盟の常任理事国となって参加したことでも実力は認められていた。
しかし、相次ぐ勝利に驕り高ぶったのは軍部。
昭和の世界恐慌を何とか乗り切り国内では今で言う高度成長が続いていた(満州国の経済発展が大きくけん引していた)
政府にも軍部にもそして国民にも戦争をすることで得られる権益の魅力に憑りつかれていたと言えるのかも知れない。

「先生、日露戦争に勝ったことで浮かれていた日本は、その後に戦争をしても負けないとの変な自信につながってゆくのですね?」

「高木くん、確かに日本は負けないという根拠のない思い込みが根付くようになるわね。
日露戦争も日本は勝利したとは言い難い戦利品しかもらえなかった。仲裁に入ったアメリカになだめられた格好だったのね。このことでアメリカに対して良く思わない人たちも居た。まあ、逆恨みなんだけど、もしアメリカが助け舟を出さなければ、共産革命に成功したソ連から逆襲されていたと思う。
話を戻すと、幕末の時にイギリスやフランスは日本を植民地化しようと狙っていたんだけど、その頃イギリスもクリミア紛争などで極東地域の日本へ兵力を回せなかった。アメリカも南北戦争があったから戦力を日本に向けることが出来なかったという幸運はあったの」

「本気になって日本と戦えば半分がイギリス、半分がアメリカ、北海道はロシアの支配地域になっていましたね」

「そうね、その可能性は否定できないわ。そんなツキも神国日本の持って生まれた運であり、実力だと喧伝されれば国民は信じたくなるよね」

「政治家にとって大切なことは威勢を張ることではなく、冷静に現実を見極める能力を持つことですね」

「渡辺くん、その通り。第一次世界大戦から世界は戦争の時代に突入した。一国同士じゃない数か国が敵味方に分かれて争う状況になってしまったの。その結果敗戦国になったドイツには莫大な損害金が課せられ、国内はその影響で不景気になってゆくの。いつの時代も経済の不満が戦争の引き金になる場合が多い。巨大な軍事力を背景に再び世界を制覇しようと狙うヒトラーの登場でナチスドイツは国民からの支持を背景に再び軍事力を行使して第二次世界大戦がはじまる」