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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 「SOSの子守唄」

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 コクピットに戻ったアッシュと私は、残された作業を再開するため、システムの最終チェックをはじめた。ジェイの取り付けたブラスターパックを起爆して、持ち帰る難破船の格納庫モジュールを分離させる作業よ。一歩間違えば、大事故につながる危険な作業。最近はホロプログラムでシミュレーションばかりやってきたけど、難破船のホロチャンバーは壊れていて、役に立たなかったのが残念ね。

 念入りな計算の元、ついにブラスターパックに点火する時が来たわ。反動でモジュールが船にぶつかって来るのを回避するため、本船はメインスラスターを噴射して、ゆっくりと移動を開始する。トラクターウィンチのワイヤーがぴんと張っても、難破船が重すぎて、船はほとんど前に進まない。これは計算どおり。そこでブラスターパックのスイッチを入れようとしたけど、エラーが出てON出来ないの。
「どうしたんだ。ジェイの奴、細工をしやがったのか?」
「細工なんかするはずがないわ。そうするぐらいなら、あんなにあっさりと機能停止されないはずよ」
「なら、なぜ起爆しないのでしょう。システムはオンラインで問題ないはずです。ブラスターパックが壊れているのか?」
「アッシュ、外へ出て確認してくれる?」
「・・・解かりました」

 アッシュが宇宙服を着て、準備をし始めた。私は何か気になることがあったけど、それが何かよくわからなかった。何か見落としている気がする。
 アッシュが船外で、ブラスターパックを確認すると、原因はすぐに判った。
「ジェイの奴、端末を一つ、イグノア(意図的な無効)に設定してやがる」
「まったく、どうしてそんなミスをしたのかしら」