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紅装のドリームスイーパー

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Memories Level.6 ──いまから十年前、幼稚園


 十年もまえのことだ。
 おれも花鈴もその当時は幼稚園児だった。
 公園の砂場で母親ふたりに見守られながら、うるさく遊んでいる。
 花鈴が、こさえた泥ダンゴを無理やりおれに食べさせようとした。おれは泣きだした。
 花鈴が猛烈に怒る。いつだって花鈴は生意気で、こわい女の子だった。
「翔ちゃん、パパなんだから、ママがつくった料理、食べなくちゃダメなの!」
「パパじゃないよぉ」
「パパなの! 花鈴がママ! ケッコンしたんだから!」
「……ケッコンって?」
「翔ちゃん、おっきくなったら花鈴とケッコンするんだよ?」
「そうなの?」
「約束だからね!」
「ふえ?」
「いいから! 約束なの!」
「……うん」
「花鈴とケッコンしてね!」
「うん。ケッコンする」
「約束だからね!」
「うん。約束する」
「忘れちゃダメだからね!」

 花鈴にどつかれたことは記憶に残っていたが、それ以外のことはいまのいままですっかり忘れていた。
 花鈴はよくこんなことを憶えていたもんだ。
 にしても、結婚だなんて……いくらなんでも飛躍しすぎじゃないか、花鈴?