小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

年賀 未来のお正月

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 
目を覚ますと、櫻澤は、まだ外に居るのが分かりました。しかし、地面が随分と濡れています。上半身を起こして周りを見ると、町の様子がどうも変です。建物が泥だらけになっていたり、窓ガラスが割れています。
「どこ?ここ」
 櫻澤は立ち上がりました。すると、背の低い年老いた僧侶が、錫杖を持って彼女のほうに歩いてきました。彼の姿を見て、彼女は驚きました。
「あなた、誰。まさか、未来のお正月の僧侶?」
「いかにも」
 しわだらけの顔の僧侶は、うなずきました。
「じゃあ、教えて。あの施設に居たおじいさん、おばあさんたちはどうなったの?ちゃんと暮らしてるの?」
 櫻澤が問い掛けると、未来の僧侶は、ある方向を見つめ、あごを上にやりました。僧侶があごで示した所を見ると、窓ガラスが全て割れ、中も外も泥だらけになった、荒れ果てた建物が見えました。
「あの壊れた建物、もしかして…」
 櫻澤の言葉を聞いて、未来の僧侶は、上に向けていたあごを下げ、地面を見ました。そこを見ると、大きく二つに割れた「グループホーム えりゅしおん」と書かれた看板がありました。

 すると、建物の中から、厚いビニールのようなもので包まれた、人間が横になっているような形のものが運ばれてきました。それは、何回も繰り返されました。
「何かたくさん運ばれてる。あれって…」
 未来のお正月の僧侶は、ゆっくりと話しました。
「もはや、話すまでもない」
 櫻澤は、僧侶の言ったことの意味が分かってきました。
「嫌!あんな運命、悲しすぎる。あんなに、あんなに楽しそうにしている人たちなのに!」
作品名:年賀 未来のお正月 作家名:藍城 舞美