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 眩しくて目を開けた。頬には涙が伝っている。開いた瞳に映ったのは、ユウタの姿だった。
 暗闇の中、キラキラ光るものを両手に抱いて、真っ暗な空間に浮かぶように立っている。
「あれ? どうやってここに来たの?」
 大して驚いた様子もなく冷たく微笑むその姿は、ボクの知ってるユウタじゃなかった。
「ここは、何?」
「“果て”だよ。この世界が生まれた場所。そして、生まれ変わる場所」
「生まれ変わる、場所?」
「そう。ぼくは生まれ変わる。弱虫で泣き虫なユウタじゃなくて、強くて元気なユウタに!」
 言ってる意味がわからない。
「“統治者”はどこ?」
 “果て”には“統治者”がいるはずなのに。
「統治者?」
 そいつを倒して、ボクらは元の世界に戻るって……。
「信じてたの?」
 ユウタが声を立てて笑った。
「ここにはそんなものいないよ」
「ここは、何?」
「ここ? ここは、みんなの望む世界。この世界に身を任せてさえいれば、望むものが手に入る」
「望むもの?」
「元気な身体と友達」
 ボクの身体がピクリと動く。入院している間、ずっと憧れていたものだ。なんでそれをユウタが?
「“黄金の左足”。“親を介しない友達”。“おまけじゃない自分”」
 みんなの事?
「……“新しい自分”……」
 それは……。
「ぼくの望みは“生きる”事。弱虫の代わりにお母さんを守る事」
 それじゃ、ユウタは?
「戻ったらぼくは新しい一歩を踏み出すんだ!」
 ボクらのユウタは?
「ユウタは、どこ?」
「ぼくがユウタだよ」
 違う!
「ボクの言ってるのは」
「あんなヘボいぼくなんていらない! ぼくは新しいぼくになるんだ!」
 その目が爛々と輝く。
「ユウタはどこ!? ボクの知ってる、ユウタを返せよ!」
 こいつはユウタじゃない!
「ユウタはぼくだよ」
「違う! お前みたいな傲慢な奴、ユウタであるはずが……」
 叫んだボクの胸が、ヒューヒューと音を立てる。
「ほら、タカヒサ。あんまり興奮すると、発作を起こすよ」
 発作? だって、発作は、風の篭手が……。
「無い!」
 腕にはまっていた風の篭手がなくなっている。ボクは自分の身体を見回した。
「優しいタカヒサ。君が優しいままだったら、一緒に戻る事が出来たのに……」
 そう言って、手のひらの上のキラキラをひとつ、ボクにかざして見せた。
作品名:CLOSE GAME 作家名:竹本 緒