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関西夫夫 ポピー1

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「おまえは、なんもすんな。わしが適当にするから大人しくしとけ。」
「へーへー。」
 会議室までの廊下を歩いてたら、沢野が立っていた。愛想を崩して、「あら、みっちゃん、かわええなあ。」 とか、ほざいているが、これは確実に演技やからスルーする。すると、いきなり抱きつかれた。
「なんで、そんな愛想のないことすんのや? 沢野のおっちゃんにも、ちゅーしてくれんか? 」
「はあ? きしょいんじゃっっ。」
「会議終わったら、遊びに行こか? 何か食べたいもんはあるか? みっちゃん。洋食か? 和食か? 」
「メシ食ったら帰る。明日の打ち合わせせなあかん。」
「冷たいわー。わしとは遊んでくれへんのかえ? おっちゃんも単身赴任で寂しいしとるんやで? たまには、みっちゃんと遊びたいがな。」
「ほんなら、余計な用事増やすな。」
「あれは、あちらさんからの提案やねん。おっちゃんが悪いことはあらへんのやで? ・・・打ち合わせみたいなん、東川にさせとき。みっちゃんも、同じように接待してもらい。」
「ほんなら、研修には付き合わんでも、ええねんな? 」
「いやいや、みっちゃんの可愛い顔は宴会の花やがな。そう拗ねんと付き合ったってや? 言うこと利いてくれたら、わし、なんでも買おうたるで? 」
「靴。」
「それでええのん? スーツは? なんやったら、おっちゃんと買い物行こか? 好きなもん買おうてええで? 」
 どこかへ電話していた堀内が、戻って来て、「それなら、ライオンのでかいぬいぐるみ、買おたってくれ。」 とか言うて、俺を沢野から引き剥がす。
「ライオン? また珍しいもんを言うやないか、堀内。」
「みっちゃんはライオンが好きなんやと。」
「そんなん売ってるんかなあ。ちょっと秘書室に電話するわ。」
「いや、ぬいぐるみなんかいらんっっ。邪魔になるっっ。」
 会議室の前で大騒ぎしていると、社長がやってきた。そろそろ会議を始めませんか? ということで室内に入る。
「浪速くん、ライオンが好きなんですか? 」
「ちゃいますねん。天王寺におるんですわ。その話を、さっきしてたんで。」
「わしとデートしたんで、よう覚えてるんやそーで、思い出になるから、ぬいぐるみでも、と、思いましてな、社長。」
「ああ、そういうことですか。」
 がやがやと会議室に入って席に座ると注目されていた。まあ、普段は代理で東川さんが出席してるから、俺の顔は珍しいらしい。堀内が隣りに座り、逆手に沢野が座る。なんやかんやと話しかけてくるので、「うっさいっっ、仕事させろや、くそじじいどもっっ。」 と、叱ったら水を打ったように周囲が沈黙した。
「すんません、始めてください、社長。」
 俺の言葉キツイんやったっけ、忘れてた、と、社長に声をかけて会議が始まった。定例の会議なので、各統括部門ごとの報告とか半期の業績なんかの報告という、お決まりのもんで、報告したら俺は暇や。ぼおーっと窓のほうを眺めて、靴以外で、俺の亭主の必要なもんは何やろか? と、考えていた。スーツは、まだ草臥れてないしワイシャツも数はある。亭主は甘いもんが好きやが、それかて、高価なもんでもない。俺は、そういう情報にも疎いから、いきなり言われても、どうにもならんことが判明してきた。

・・・まあ、ええわ・・・花月に聞いてみよ・・・・

 欲しいもんはないのか聞いてから返事しよう、と、決めたころには会議も雑談になっていた。報告と社長の訓示あたりが終われば、あとは雑談みたいなもんで、適当に、幹部連中がくっちゃべっている。
「浪速くん、うちの若いもんの相手を頼みます。なんなら、ビシビシしごいてくれてもよろしいですよ。」
 幹部の一人が、そんなことを言う。しごいてええんなら、それはそれで使うけどなあーと、堀内を見たら笑っていた。つまり、やってもええらしい。
「現場仕事の体験なんかでよろしいですか? 岡崎はん。」
「そうですな。最初の頃に、経験はしていますが、もう忘れているでしょうし。」
「わかりました。みっちゃん、現場で、ちょっと体験させたってんか? 」
「わかった。現場ってホールでええんか? 」
「それでええやろ。制服の用意してもらいや。」
「連絡しとく。」
 ホールの手伝いは、結構、体力勝負やし客との応対もせなあかんので、重労働やった。俺も最初の頃はさせられてたが、すぐに経理のほうへ移動した。俺の体力では続かなかったからや。

作品名:関西夫夫 ポピー1 作家名:篠義