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チェリーボーイのシャル・ウイ・ダンス

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 そうして僕達は屋敷の中に入った。屋敷の中は見事なシャンデリアがある。西洋風の屋敷だ。かなり大きな屋敷なので一歩間違えると迷路になる。中に入ると暖炉があった。薪まである。そのとき電気がついた。
「えっ?何で電気がつくの?電気なんて通ってないはず。ここには人が住んでないはず」
 僕が言うと、凱斗は真剣な顔をして、
「琉生。いいか。よく聴け。俺達はもうすでに幽霊の世界に足を踏み入れてんだよ。もう引き下がれないんだよ」
「怖いこと言うなよ。だいたいお前が子猫なんか助けるから」
「それを言うなって。とにかく暖炉がある。紙もある。マッチで火をつけて」
 僕達は火をつけ、薪を燃やし、凱斗は服を脱ぎ乾かした。
「紙もっと燃やせ」凱斗が言うと、僕はあることに気が付いた。
「紙に何か書いてあるぞ。ええと……凱斗君、琉生君……えっ?何これ」
「何て書いてあんだよ。続き読めよ」
「凱斗君、琉生君。この屋敷の秘密を解決すれば無事帰してやろう。秘密を解決できなければ……」
 そのとき大きな地震があった。
「なんだこの地震」僕が言うと、
「幽霊の仕業じゃないか」凱斗はそう言った。震度七くらいの地震に思えた。そのとき凱斗は言った。「見て」
 凱斗が指差したのは玄関だった。玄関が陥没している」
 凱斗は言った。「どうしよう。帰れなくなった」僕も、
「まさか玄関が陥没するなんて。これやばくねえ。やばくねえ」
 そのときだった。僕達は確かに見た。この目で。現実とうそ話が交錯する気分だった。
「お母さん。一緒にいたいよう」
 僕達が目にしたものは子供の幽霊だった。小学校二年生くらいだろうか。随分古めかしい服を着ている。しかし古めかしいがどこかおかしい。洋風の服を着ている。そして子供はなにかを持っている。聖書だ。と思った瞬間、子供が消えた。
「消えた」凱斗は言った。
「やばくねえ。やばくねえ。どうしよう。逃げようよ」僕が言うと凱斗は言った。
「いや、俺には東京工業大学のゼミの先生に伝える義務がある。この屋敷の秘密を暴きたいし」
「でも俺は嫌だよ。幽霊なんて。俺一人でも帰る。だいたいお前が子猫なんて助けたりするから。そうだ携帯でレスキュー隊を呼ぼう。一一九と」僕は一一九に電話した。
「ツーツー」
 あれ電話が通じない。
「この電話はある幽霊の力で今現在ご利用できないようになっています」
音声がそう言った。
「どうした琉生?」
「携帯が使えない。幽霊の力で使えないようになっている。どういうこと」
 凱斗は言った。
「いいか琉生。もうお前は早くから幽霊の世界に足を踏み入れているんだ。もう踏み入れているんだよ。」
「そのようだな」そのときだった。僕達は確かに見た。確かに。もう僕らは半ば病的な非現実にどっぷりつかっているようだった。
「ああ、可哀想な我が息子。私達の忠告を守ったばかりに、こんな残忍な仕打ちを。子供までが」
 今度は女性の幽霊が現れた。先程の幽霊の母親と思われる。やはり古めかしい西洋の服を着ている。この女性も右手に聖書を持っている。そうして消えた。僕は、
「やばいよ。やばいよ。何とかして逃げようよ」そう言ったが、凱斗は、
「いや琉生。俺達が助かる道はただ一つこの屋敷の秘密を暴くことだよ」
「屋敷の秘密?」僕が訊くと、
「ただあの幽霊親子に共通していることはだな……」
「聖書。二人とも聖書を持っていた」
「そうなんだ。二人とも聖書を持っていて、俺の東京工業大学の先生が専攻していたのも宗教学。これが偶然の一致と思えるか?」
「いや。なんか、あるね」
二人は黙った。そして一時間くらい僕達はこの謎を解き明かすため語り合った。でも答えは出なかった。
「そろそろ服乾いたようだ」凱斗はそう言って服を着た。
「何かお腹減ってきたな」凱斗は言った。
「何言ってるんだ。こんな時に」僕がそう言うと、
「とにかくのども渇いた。おい。シャンパンでも飲むか?」凱斗は言った。
「こんな古屋敷にシャンパンなんてあるわけないだろ」
「まあ心配するなって」
「だいたい冷蔵庫がない」
「あるよ」凱斗は僕を導いた。どうやらキッチンのようだ。
「ほら」
 そこに僕が目にしたものは冷蔵庫いっぱいに入ったシャンパンだった。