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PTAしようよ

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ある学校の あるクラスの ある日のこと。
子どもたちの授業参観を終えた教室で 今度は親たちがお勉強?
おとなだって楽しい授業は受けたいものね。簡単だから面白い。

クラスの担任の先生がおっしゃった。

「今日はお集まりいただきましてありがとうございます」
澄ましたお母さん。
照れくさそうなお父さん。
学童机に向かい こどもたちの小さな椅子に腰かけて 先生のお話を聞きました。
「今日は、皆さんと字について思うことを話しましょう」
何が始まるのかと おとなたちは注目していたけれど 『字』と聞いて椅子の背に凭れたり 溜息でも出そうな顔つきになったり 反応はいまひとつ。

先生は、小学校一年生二年生で習う漢字の書かれた紙を配った。
あるお母さんが訊ねた。
「字といっても いまさら書き取りをさせられてもねぇ」
「勉強というより 皆さんの思い描くイメージを聞かせてください」
「せ、先生」お父さんが手をあげた。
「はい。何でしょうか?」
先生に促されると 席を立って質問をした。
「イメージというと あのゴルゴさんの命みたいなものですか?」
「ええそうです。でも字の成り立ちではなく図形のように捉えてください。こどもたちって言葉や文字に個々にイメージを抱くんですよ。それを皆さんとも考えたいと思います」
「その人 見たことないわ……」
「難しいことはないのです。字の意味も気にしなくていいんです」
困惑の表情だったお母さんもいました。
「小学生低学年で学ぶことですからよろしくお願い致します」

質問をしたお父さんが 席に着こうとした時 机の収納部分に膝っこぞうぶっつけた。
「痛たぁ」
「大丈夫ですか?」
「はぁ。あっ先生 ぶっつけたついでに訊きますけど この授業の道具を入れるところってなんていうんですかね。俺 あっいや僕は小さい頃からずっと知りたかったんですよ。『机に物をしまえ』『机の中に入れろ』ってどの先生もいうのにその名称はずっと謎で。おや? 今は何か入っていますね?」
すると、隣の席のお母さんは答えた。
「入学の時に購入した 此処に入れるハコーっていう引き出しですよ。私たちの頃はなかったんですよね」
「だから 此処って何?」
親切心で言ったお母さんは 少々困り顔になったが それをきっかけになんとなく和やかな雰囲気を取り戻した。

作品名:PTAしようよ 作家名:甜茶