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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「時のいたずら」 第一話

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「それは見たといううわさで写真に撮ったわけでもないし、テレビカメラに映っていたわけじゃないから信じてないんだよ。それはそうだろう。幽霊なんて」

「今夜はスマホで動画撮影しながら警備しますよ。もし現れたら決定的な証拠になりますよね。現れないことを祈りますが」

「優斗くんは怖くないのかね?私は今の段階でこの話をして体の震えを感じているよ」

「信じていたら怖くてお金貰えても遠慮しますよ。今の時代にあり得ない話ですよ。会場内のどこかで昔に女性が亡くなったとか言うことがあったのですか?」

「それは聞いてないよ。人殺しがあるような場所じゃないしね。俺も信じたくないよ」

「0時を回ったらボクが一人で巡回しますから、島村さんはここで待っていてください」

「本当か?それは助かるよ」

島村の話はまんざら脅かしのようには受け取れなかった優斗ではあったが、バカバカしいとの思いの方が強かったのである。
二時間ごとの定期巡回をして時刻は0時となっていた。

「島村さん、0時の巡回に出かけてきます。何かあったら持っているブザー鳴らしますので直ぐに来てください。では行ってきます」

「頼むよ。もしブザーが聞こえたらすぐに行くから」

警備室の扉を開けて優斗は大きくため息をついて歩き始めた。怖くないとはいえ心の片隅にまさかという思いが残っている。第一展示室の扉を開ける。異常なし。
第二展示室の扉を開ける。懐中電灯で照らすも異常なし。
そしてメイン会場の中央展示室の鍵を開け、扉を開く。懐中電灯で左、右、下、上と見て正面の源氏物語絵巻の展示面に明かりを当てる。

異常なし。
裏口から中央展示室の裏側に当たる廊下を歩いて最後の第三展示室に向かう。
第三展示室の前で鍵穴に鍵を差し込もうとしたとき、後ろに何やら気配を感じて振り向く。

懐中電灯を照らしたその先に信じられないものを優斗は見た。
一瞬体がこわばって動かなくなっていた。そして声も出なかった。それは何か引力のような吸いつけられる力で体のすべての力を取られているような感覚だった。

「お願いがあります。聞いて頂けますか?」

か細い声でそう聞こえた。
首を縦に振る。声が出ないからだ。

「怖がらないで下さい。わたくしは紫式部に仕えていた女官の藤と申します」

心の中でこいつは何を言っているんだと恐怖より呆れる気持ちが広がってきた。
しかしまだ声は出なかった。