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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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自称ノブレス・オブリージュのリポーター

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友達とカラオケをしていると、
レポーターのフリをしふざけて友達にマイクを向けて聞いた。

「今の歌を聞いて、何点だと思いますか?」

「えぇーー? ところどころ音程外していたし、
 正直マサミの歌って下手じゃん。
 上手い人っぽく歌ってるだけだから……30点?」

カラオケボックスは水をうったように静まり返り、
気を遣うように機械の採点は「90点」を表示した。

気まずくて解散したカラオケ会のあと、
私は自分の特殊な力を自覚することになった。

「私がマイクを向けたら……みんな本音を言ってくれるんだ」

そこで、最初は母親にマイクを向けてみた。

「最近なにか隠していることは?」

「えっと、便器のタンクの中にへそくりを隠しているわ。
 それとパパの浮気を知っているけど知らないふりをしている。
 あと、あなたの口座からお金を抜いたわ」

母親はぺらぺらと恐ろしいことを暴露した。
私は自分の能力を確信した。

今度は友達にマイクを向けていく。

「あなたの好きな人は誰ですか?」
「友達になりたい人は?」
「できれば避けたい人は?」
「苦手な人は?」「隠していることは?」

マイクを向ければみんな答えてくれる。
みんなの本心を聞いたらあとはそれを再分配するだけ。

友達になりたい人には友達を。
好きな人を知ったら、つながりを作ってあげる。
苦手な人には距離をおく環境を作ってあげる。

そんなことをしていると、
だんだんと人から感謝されるようになっていった。

「「「 ありがとう! あなたのおかげよ! 」」」

「ううん、いいのよ。気にしないで。
 私は"持っている人"だからね。
 ノブレス・オブリージュってことよ」

「のぶれす……?」

「力がある人は、力のない人に使ってあげるってこと♪」

私の周りには人が集まってくる。
これもこの能力があってこそ。

みんな誰かの本心を知りたいけど、
知るためには自分が傷つく危険性がある。

私がみんなの知りたい"情報"を教えてあげることで、
誰もが幸せで最高で平和な世界になるはず。

私がみんなのために尽力してあげないとっ。



ある日、テレビを見ていたときだった。

『議員、あなたはどう思っているんですか!』
『本当は戦争で儲けたいんでしょう!?』
『国民の意思を考えているんですかっ』

テレビでは毎日マイクに囲まれて嫌そうな顔をする政治家。
帰ってくる返事はのらりくらりと、的を射ない回答ばかり。

「これよ……これだわ!
 私の能力を最も生かせるのはこれしかないわっ!」

誰もが知るのを求めている情報。
それが私なら引き出すことができる。

偉い人の本心はみんなが知りたがっているはず。
これを再分配する義務が私にはあるんだから。

私は偉い人の集まる場所へ向かった。



「ダメだダメだ! 帰ってくれ!」

偉い人が集まる会議室に行ったが、すぐに追い返された。
本心を知られたくないということはそれだけの情報があるはず。
ここで「はいすみません」と帰るわけにはいかない。

外を歩いていた子供を捕まえると、会議室に行くよう話した。

「なんでぼくが?
 ぼく、これから後藤くんと遊びにいくやくそくがあるのに」

「そんな約束なんてどうでもいいわ。
 私はこの国や、ひいては国民が知りたい情報が得られるのよ。
 そのためにはあなたの協力が必要なの」

「……でも」

「私に協力しないのは、全国民への反逆と同じよ」

子供は私の説得に応じて会議室へと忍び込むことに。
案の定、子供が紛れ込んだことで会議は中断して大騒ぎ。

騒ぎの収拾で見張りがいなくなったところを見て会議室へ突入。
まっさきに一番偉い人へマイクを向ける。


「教えてくださいッ!
 あなたはこの国のことどう思ってるんですか!!」

さあ、あなたの腹にため込んでいる
とっておきの本心をさらけ出すのよっ!




「え、えーー……そうですねぇ……。
 まぁ、大事にはしないとなーーって思っています」

あれ?
カスミのような手ごたえのなさに質問を変える。

「あなた達の隠していることは!?」
「はい、昨日の料亭でこっそり10円をネコババしました」

「これまでにやった一番あくどいことは!?」
「車で移動中に通行人に泥をはね上げたことがあります」

いくら聞いてもダメだった。
そもそも本心から隠し事もあくどいこともなかったんだ。

「はぁ、せっかくすべての人のために
 この能力が役立てると思ったのに……。
 これじゃ人の役に立つだけの情報じゃないわ……」

あまりの肩透かしな結果にマイクを取り落とす。

そのマイクを会議室に忍び込ませた子供が拾って
リポーターのマネをしてマイクを向ける。


「あなたの本心は?」

「スクープしてみんなに感謝されたいわ。
 みんなが私のことをチヤホヤしてくれるために
 誰も知らない情報を教えてあげるの。
 人に役立つとかこれっぽっちも考えてないわっ!!」

口が勝手に動いて自分でもびっくりした。
マイクを向けた子供もびっくりしていた。


「わぁ、お姉ちゃん、このマイクすごいねっ。
 このマイクを向けたらみんな本音を言っちゃうんだっ」