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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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通り過ぎた人々 探偵奇談5

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「美波は?彼氏と遊んだりした?」
「あたしもあっちも部活ばっか。花火大会行ったくらいかな」

花火大会…いいなあ、と郁は口を尖らせる。宮川先輩と浴衣着て、一緒に花火見られたら幸せだろうなあ。屋台の綿菓子をキャッキャ言いながら食べたり…。

「おーい郁、妄想から帰ってこーい」
「はっ!でも美波の彼氏って部活そんな忙しいの?」

美波の彼氏は二年生で、文化研究会というちょっと賢そうな部活に所属している。文化部だから暇そう、と郁は勝手な偏見を持っているのだが。

「この夏はチドリ遺跡の発掘調査の手伝いするって張り切ってたよ。なんかどっかの大学の研究室と一緒にって」
「ふーん」

古い歴史を持つこの町は、縄文時代だが弥生時代だかの古墳がいくつか存在しており、発掘作業が進んでいるらしい。郁は全く興味がないのでよく知らないが。

「新しい弓道部、来週からスタートでしょ?須丸は副主将だってね。あいつ神末(こうずえ)先輩とうまくやれんのかな?」
「んー」

瑞と伊吹(いぶき)。二人は性格は正反対なのだが、それなりに馬があうというか、いつも成り行きで一緒に行動することも多くて(幽霊騒動とかで)、結構いいコンビだと郁は思っている。ただ。

(なんか、あの生霊事件からヘンなんだよなあ)

自主練中、表面上はいつもの二人なのだが、以前のような気安さが消えているというか、ぴりっとした緊張感のようなものが漂っているのだ。

(なんかあったのかなあ…喧嘩?って感じでもないしなあ)