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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「父親譲り」 第十一話

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「お金持ちなんですね、笹川さんって」

相手の名前は笹川謙一と言った。渋いダークスーツでそれほど見た目が悪くないと感じていた。

「いや、たまたま商品がヒットして稼いだばかりなんですよ。商売人は浮き沈みするから儲けた時に贅沢しないとすぐにまた貧乏に戻りますからね」

「お仕事って貿易関係でしたよね?」

「ええ、化粧品の材料を輸入してメーカーさんへ卸しています」

「化粧品の材料?アロマとかですか?」

「いえ、まあそれもありますがだいたいは基礎になる素材です」

「フランスとかからですか?」

「中近東ですね」

「そうなんですか・・・知りませんでした」

「アルガンオイルって知っていますか?」

「知りません」

「シリアにあるアレッポと言う街の付近で生産されています。最近世情が不安定なのでストップして代替で地中海を挟んでモロッコとかで仕入れているんです」

「大変ですね。じゃあ海外へは何度も行かれるんですね?」

「もちろん。来月もそのモロッコへ行く予定です。美津子さんが私を好きになってくれるようなら招待しますので一緒に行きませんか?」

「ええ?旅行ですか・・・」

会って直ぐにそう誘われて私は返事が出来ないでいた。一緒に行くという事は一緒に泊まるという事。そして真面目な交際を承諾したという事になる。
旅行にはすごく興味はあるけど、真面目な交際にはこの人でいいのかはまだまだ判断できないと思っている。

「返事はすぐにじゃなくてもいいんです。旅行へはシングルルームを予約しますから、安心してください。二人で出かけてもし仲良くなれたらその時は部屋を変更しましょう」

「そんなこと、急なので受けることが出来ないわ」

「では、予約はしておかないと部屋がとれないので一週間だけ考えてみてください。いいお返事が戴けなかったら今回はご縁が無かったという事で今後誘いません」

そこまではっきりと言われてこの人は自分に自信があるのだろうか、と考えてしまった。
まずは沙代子に相談してから決めようと美津子は返事を待ってもらった。
楽しいはずのデートも最初からこんな話を聞かされて興ざめしてしまった。

tessue