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口 ~生死をかける討論会?~

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「口 〜生死を決める討論会?〜」


【登場人物(自殺動機・年齢)】
山崎 一華(やまざき いちか)…仕事の過労により鬱病になる 32歳
海本 胡桃(かいもと くるみ)…ピアニスト 事故で手が動かなくなる 28歳
大空 美優(おおぞら みゆう)…孤独感に耐えられなくなる 17歳
川島 浩二(かわしま こうじ)…後輩の連帯保証人になり借金を背負う 37歳
司会者(表記 司会)     …討論の司会を務める 人ではないらしい

『司会者以外の登場人物それぞれの過去を演じる場面があります。配役は自由です。』

【1.プロローグ】

司会:…?おや、今日は珍しいお客さんがたくさんいますね。このような事例はなかなかないのですがどうやら干渉はできないようなので問題はないでしょう…。というか、ないことを願いますね…。さてと人間の皆様、初めまして。私に名乗る名前はございませんので、まあ司会者とお呼びください。挨拶ははこの程度にしましょう。私のことは後々わかりますから。それでは今から皆様には自殺した人たちをみていただきます。あ、言い方が悪いですね。自殺した人たちの「討論」を見ていただきます、何がテーマかはその時までのお楽しみですよ。もし人生に疲れている人がいたら少しは救われるかもしれませんね。それではまた後でお会いしましょう。

【2.出会い】
[山崎以外は起きて座っている]
山崎:ん、んん…(目覚める)あれ、ここは…
海本:あ、やっと起きましたか。おはようございます。
山崎:え、あ、はい…。おはようございます…。
川島:起きたのか?名前は?
山崎:「やまざき」…です。「やまざき いちか」。
川島:山崎さんね。俺は「かわしま こうじ」。
海本:私は「かいもと くるこ」。それでこっちにいる子が
大空:「おおぞら みゆう」です。よろしくお願します。
山崎:は、はあ…。よろしく…。
川島:まだ状況が読み込めてない感じか。あ、でもそれは俺も同じか。
大空:そうだよね、ここなんのヒントもないから探しようがないよ。
海本:私たちに何か共通点があるのかも。
大空・川島:共通点ねぇ…。
山崎:あの…、私は死んだんですか?ここは天国ですか?地獄ですか?
海本:急にどうしたの?
山崎:私…、確か死んだはずなんです。自分で
川島:…実は俺も死んだはずなんだ。恥ずかしいし、こんな話題出すものじゃねえって思って言わなかったが…。嬢ちゃんはどうなんだ?(大空に)
大空:同じ。私も死んだはず、自殺したの。
海本:私もです…。同じく自殺で…。
山崎:ということは…、ここに居る皆は「自殺した」っていう共通点がある…?
大空:そんな馬鹿な、他の共通点があるはずだよ。
川島:じゃあ適当なプロフィールでも言っていくか?
海本:それなら何かわかるかもしれませんね。
山崎:じゃあ私からいきますね。名前は「山崎 一華」歳は32、職業はOLをしています。趣味は…、特にありません。
川島:じゃあ次は私が。名前は「川島 浩二」歳は37、職業は鉄鋼製作所の社長でした。趣味は外を眺めるくらいかな。
大空:じゃあ私ね。名前は「大空 美優」歳は17歳、高校二年生です。趣味はまあ普通に音楽を聴くことかな。
海本:最後は私ですね。名前は「海本 久瑠子」歳は28、ピアニストです。趣味はもちろんピアノを弾くことです。
山崎:…皆インドア派…?
川島:そこに目をつけるか。まあでも確かにそうかもしれないな。趣味が皆室内だからな。
海本:でも特に同じ所はありませんよね、歳も職業もバラバラですし…。
全員:う〜ん…。(考え込む)
[暗転]

【3.ここにいる意味】
大空:わかんないよ…。あれからずっと考えてたけど。
海本:「自殺した」「インドア派」っていうことしか共通点が見つかりませんでしたね…。
川島:誰かなんかヒントでも運んできてくれないのか?誰でもいいからよー。
司会:呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーっとこれ以上は危ない危ない。いやあ、皆さんお待たせいたしました。少し遅れてしまって…。
大空:どっから来たの!?何か急に人が!!
山崎:貴方は?私たちとは違うようですが。
司会:おや、察しが良いようで。確かに私は皆さんとは違います。まず人間ではありません、皆さんに合わせて人間の形をしています。
川島:人間じゃない?じゃあなんなんだ?
司会:そうですねぇ、人間たちのいう悪魔、みたいな感じですかね?
大空:何?私たちをからかってるの?
司会:いえいえ、全くからかうつもりはありませんよ。怖いお嬢さんですね。全て事実です。
海本:じゃあ私たちの質問に答えてくれますか?
司会:ええ、私が答えられるものなら。
海本:まず、私たちがここに居る。その共通点は「自殺をした」からですか?
司会:はい、その通りです。ここにいる皆さんは自殺をしました。
山崎:じゃあここは地獄か天国ですか?
司会:いいえ、どちらでもありません。でも現実でもありません。ちょうど現実と死の境目(さかいめ)です。
山崎:じゃあ何故私たちはその「境目」に…?
司会:皆さんにはチャンスが来たのです。「生き返る」チャンスが。
大空:チャンス?ふざけないでよ!私は死にたいから自殺したのに、なんで生き返らなきゃいけないの!?早く死なせて!
司会:まあまあ、そう興奮しないでくださいよ。これから生き返るかどうかは自分で決めてもらいますから。
山崎:どういうことですか?
司会:それでは全て説明しましょう。今から皆さんには「討論」をしてもらいます。
川島:討論?なんのことだ?
司会:死ぬかどうかの討論です。今から私の力で皆さんそれぞれの過去を皆さんで再現してもらいます。
大空:過去を再現?私たちの過去を?どういうこと?
司会:そのままの意味ですよ。皆さん一人一人の過去を、皆さんで演じてもらうんです。
海本:つまり…、例えば私の過去を再現する場合は私が主人公、山崎さんや川島さん達が私の関係者になって再現するっていうことですか?
川島:俺たちの過去を俺たちが役者となって再現する…?
司会:そういうことです。そして、その理由で本当に死んで良かったのか?、もっと他の解決策があるのではないのか?という意見を言い合ってもらいます。
大空:そんな勝手な…、私のは見ないでよ、見られたくないんだから。
司会:しなければいけないのです。mustですよ、must to do!!
大空:なんか今すごくイラッとした…。
川島:同じく。
司会:すいません、私の特技です。
海本:絶対性格悪いこの人…。
司会:褒め言葉ですねぇ。まま、それはさておき誰の過去から見るか皆さんで決めてください。くじ引きでもなんでもいいですし。
山崎:…仕方ないですね、決めましょうか。
川島:本気か?
山崎:共通点や今の現状から考えてこの人の言っていることは事実だと思いますよ。それに皆さんがこの人が出てきたのを驚いたということは、私がここに来たときの方法とは違うからだと思います。だから私は信じます。
川島:…そうだな、あんたの言うことが正しそうだ。
海本:同意見です、このまま何もしないより信じてみましょうか。
大空:嘘みたいな話だけど、仕方、ないか…。