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コスモス2015

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コスモスで有名な大きな公園、その公園の丘一面に咲くコスモスを独りで見ていたのは昨年のことだった。あまりに壮大で華麗なその景色に気分も高揚していたのだろう。強がりを言っている自分がいた。

  丘一面に咲くコスモスは
  相手は花の数ほどいるよ
  と、語りかけているようで
  単純な私はうんうんと頷きました
  あなたがいない花の丘なのに
  少しも悲しくは無いのです

        *               *

今、夕紀とこうして一緒にいられることが嬉しいのだが、どこかにまた失ってしまうのではあるまいかという思いもある。女々しくも拝み倒して二人でここに来たのだった。去年見た丘一面のコスモス、その感動を二人で味わいたかったのだが、だんだんと近付いて行って木々の間から丘が見えた時、雰囲気が違うことに気づいた。

何かの間違いでありますようにと祈るようにして近付いていくに従って、やはり華やかさが感じられないのが実感された。夕紀は「まだ早かったのかな」と言うが、今のオレには意味を持たない。今、目の前に去年見たようなコスモスが見られないが残念だった。

  丘一面に咲くコスモスを
  二人で見ていた
  あなたと一緒なのに
  コスモスが寂しいのです
  そんな筈はないと見渡しても
  でもやはり寂しいのです


直射の太陽は暑いので、芝生のある木の下に並んで座った。どこか違う。少しの違和感を感じながら揺れるコスモスを見ていた。何年も一緒に暮らした筈なのに、まだよそよそしさが感じられる。それは新鮮さとは感じられず、少しの寂しさを伴っている。コスモスの花の色が薄い、そう感じた。そして草丈も短い気がした。

「少し寂しいね」夕紀の言う言葉は、コスモスの花のことかと思うのだが、二人の関係のようにも思える。コスモスの寂しいのは自分のせいではないが、以前は身体を触れあって並んでいたのに、今はこうして少し間を置いて座っている状態のようにも感じた。

  丘一面に咲くコスモスが
  風にゆれていた
  あなたはぽつりと
  少し寂しいねと言うのです
  私のせいではないと思っても
  でもやはり寂しいのです

作品名:コスモス2015 作家名:伊達梁川