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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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気持ちのままに

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禁煙



禁煙をしたのは20年ほど前であるが、当時私は1日30本ほどタバコと吸っていた。子供が風邪をひいたのがきっかけなのだが、それも10日ほどで吸い出してしまった。次は正月禁煙を誓った。家族は知っていたが、職場では誰にも伝えなかったから、休み時間、タバコを吸っていないと、親切にタバコを差し出してくれる。そこで[禁煙中です」
と宣言すればよいのだが、それも出来ずに、煙草を口に咥えてしまう。
「1本くらいなら・・」
結局1週間で元の黙阿弥。何度か繰り返しながら、禁煙できたのだが、煙草を吸うときの安らぎや解放感も然る事ながら、タバコを覚えた後悔があった。
 ギャンブルもそうだ。私の住んでいるところには競艇場が近くにある。最初は観るために行ったのだが、友に誘われ買った舟券で興奮しながら観る自分に気がついた。舟券のない時よりもはるかに面白い。まして的中すれば走って換金したくなるほど嬉しい。そして掛け金も多くなった。経済的に余裕があったが、金銭感覚は麻痺していく。1日1万円だったころから、止めようと思った時は50万円くらいは平気で使っていた。競艇を楽しむから、気持ちは金儲けへと変わっていたのだ。
 知らないままでよかった。と考えることもある。先物取引などもそうかもしれない。初め粗糖でかなり利益を上げたが、手仕舞いするときには赤字であった。懲りて株はやらない。
 儲けたときは妻に指輪を買ったり、車を入れ替えたりしたが、糠喜びであった。
 知らない方がよい。生き方はそれぞれであるが、その様な事は沢山あるだろう。ほどほどにのつもりで覚えたことが身の破滅になることもある。

作品名:気持ちのままに 作家名:吉葉ひろし