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ヴァリング軍第11小隊の軌跡(仮)

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生き抜く決意


 市花は小百合と再会した。



「確かSPクラスの小百合・ハナさんだよね?」

「…小百合でいい。同じ年なんだし…」

「…わかった、小百合。私の事は市花でいいから」

「分かったわ…市花。それより早くここから去った方が良いと思う、次に敵が来たら今度こそお陀仏確定よ」

「だね」



 市花と小百合はその場を離れ、さらに森の中へ行った。
 すると一つの洞窟を見付けた。
 市花と小百合はお互い顔を見合わせて一緒に中に入る。
 ゆっくりと誰もいないかを確かめるように。
 奥まで行き、誰もいない事に一息付いた二人は、火を熾し座った。



「…それにしても、とんだサバイバル試験だね…。試験で人を殺すなんて思ってもみなかった…」

「……本当に試験なのかしら……」

「…どういう意味?」

「試験であんな敵、必要かしら?だって私達まだ軍人じゃないし、それにこの試験は一般人も交じってるのに…」

「…他の子達はどうなんだろう?私みたいにあんな敵と遭遇してたりするのかな?」

「敵の情報が少なすぎて判断がつかないわね…」

「分かってる事といえば、軍服がヴァリングの軍人が着る青と白の軍服じゃ無かったって事と、戦闘のプロって事くらい?かな…」

「そうね。ただの軍人試験にしては生死を掛け過ぎている気がする。あんな外の敵が出てくる時点でもう試験では無い気がするけど…」

「外の敵?」

「そうよ。市花が戦った相手、アレは間違いなくヴァリングの軍人じゃない外の敵よ」

「じゃあ他にもあと何人かああいうのがこの島に居るって事?」

「ええ、間違いなくね」

「…三日か…」

「たかが三日の筈だったのに、今はその三日後が長く感じるのは何故かしら…」

「小百合でもそう感じるんだ?」

「当たり前でしょ。人を何だと思ってるの?」

「何かさ、修羅場慣れしてそうだと思ってた…」

「育ってきた環境は確かに特殊だとは自覚してるつもりだけど、特別な事は何一つして貰った事はないわ。二人とも私より軍の仕事の方が大事だしね」

「…拗ねてる?」

「拗ねてないわよ!」

「そっか、大変だね…小百合は。私なんて毎日同じ事の繰り返しで刺激欲しさに受けたこの試験で人殺してるし…はぁ…もし合格しても親に報告出来ない…」

「軍に入れば少なからず人は殺す事になるわよ。戦争にだって駆り出されるだろうし、早いか遅いかの違いだと思うけど」

「…何か意外だね…」

「何が?」

「小百合、私の事励ましてるから…学校で見る小百合は一匹狼って感じで誰ともつるまない感じだったのに…」

「こういう状況なら話は別。一人よりは二人の方が生き延びるためにはいい。足手纏いにさえならなければね」

「…そっか」

「取り敢えず、今日はもう寝るわよ」

「そうだね」



 二人は焚火を消して、眠った。