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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 舞い降りた天使 8.

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「急かせてすまんな。しばらくすると会えなくなる予定なので早めに連れてきた。磯村幸一君だ。階級は来月に施行される編成で海軍飛行整備科の少尉に任官する。将来は戦闘機の整備にとどまらず開発の一端を担う部署の責任者になろう。有望株だ。それにおれと違って背も高いし、学才もある。気に入ってもらえると思うが、どうだ?」

「山本様。ご丁寧にご紹介いただきありがとうございます。磯村様、大久保裕美子と申します。お恥ずかしいですが、恥知らずの世間知らずの女です。お気に召されるとは思えませんが、無礼をお許しくださいますなら少しお話しさせてください」

「磯村幸一です。司令官にはこのようなお美しい方をご紹介戴けるとは正直思っておりませんでしたので、緊張しております。是非お話ししたいと思います」

「おいおい、磯村。それは失礼だぞ。おれが紹介するのは美人ばかりだぞ。覚えておけ」

「はっ、失礼しました」

頭を深々と下げた磯村の行為を見て、裕美子は五十六がそれなりの地位であることが十分窺えた。自分などが親しく話せるような相手ではなかったのだ。恐れを知らないと言うことは怖い。もし戦争が始まったら、よりそういう立場を考慮しないといけなくなるだろう。
女将が気を利かせて、二人を部屋に案内した。障子を閉めて机に向かい合わせになった裕美子と磯村はしばらく下を向いて話を始められなかった。