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The SevenDays-War(黒)

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 アーノルドは、実に二年振りに味わう感覚に身を任せていた。それは一緒に行きたいという想いだ。

 今年になって正式に発表された『フロンティア入植計画』。
 二年前に計画実施に向けた調査を行うための先行部隊参加者が募集された。アーノルドの友人はそのほとんどが参加を表明し、彼も誘われていた。
 彼には病気の母親もいなければ、別れを惜しむ恋人もいない。旅立ちを阻むものは何もなかった。しかし彼は、騎士という名前に対するこだわりを捨てきれず、エルセントに残り騎士を目指すことを選択した。
 養成所に入りわずか一年で卒業したが、それは才能によるものではない。北門の門兵長は閑職である。フロンティア入植計画の先行部隊に人材を割いたため、その代理を務める騎士すらもいなかったのだ。特別措置として騎士見習いにもなっていない彼を騎士として卒業させた。

 小隊長という現実的で分かり易い誘惑に負け、門兵長代理をやっている自分。
 何事も経験だと言い聞かせ続けた一年。
 その一年で得た経験を問われても、胸を張って答えられるものは何一つとしてない。『一緒に行っていれば――』と城壁の上で何度も何度も後悔した。

 何にも縛られず、自由に世界を駆ける。
 ただ己の信条にのみ従い、己の心を王とし仕える。

 そんな騎士になることが自分の目標だったことに気がついた。それはつい最近のことだ。
 黒い噂が絶えないサンク卿に頭を下げなければならない毎日への疑問が、彼を原点へと立ち返らせるきっかけとなったのだ。

 アーノルドは城壁の上へと登った。
 そこからでもルドラの姿を捉えることはできない。

 ―― 我らは同類ではない

 アーノルドはルドラの言葉を思い出す。

「そんなにハッキリいわなくていいじゃねぇの」
 それは、すでに遠くへ行ってしまったルドラへの、精一杯の強がりだった。
作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近