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ゴキブリ勇者・魔王と手下編

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俺は勇者の手にしていたアンモナイトを使って、ある装置を完成させた。
ぼんやりと光る異質なそれは、俺と勇者の仲間を生き返らせるために必要だった。

最初に俺が、続けて勇者が装置を作動させた。
現れたのはよく見知った仲間の顔で、全員眠っていた。
俺たちは戸惑いながら、仲間のもとに駆け寄った。



勇者「……あ……先生……」

医者「う、うーん……」

魔王「良かった、ちゃんと生き返ったな」

医者「うーん……あれ、ここは……。
俺は……俺は……!」ガッ

歴史学者「うーん……」ゴロン

医者「なんで……そんな……俺が殺した……嘘だ……俺は……!」ガクガク

勇者「先生、しっかりして下さい!大丈夫です。先生もコイツも生き返らせましたから」

医者「俺は……俺は……!」ガクガク

勇者「先生!」

医者「やめてくれ……もう死なせてくれ……。俺は……耐えられない……!」ガクガク

勇者「先生……やめてください……俺を一人にしないで下さい……!」

ギュッ

医者「……!」

勇者「もう一人は無理です……お願いだから死なないで下さい……!
お願いだから……!」ギュッ

医者「……」

歴史学者「うーん、あれ?」

勇者「……!」

歴史学者「ここはどこなんだ?なんで私は……」

勇者「うぅ……!」

ギュッ

歴史学者「な、なんだ。どうしたんだ?」

勇者「頼むから……死なないでくれ……!」

歴史学者「なにを言ってんだ。私は……先生に……!」

医者「……うああ……やっぱり俺はダメだ……死なせてくれ!」バッ

勇者「やめろ!!」ガスッ

医者「うぐっ……」

勇者「……もう一人は耐えられません。先生が死ぬなら俺も死にます。
それでもいいんですか?」

医者「……だけど……」

歴史学者「……全く、ずいぶんと修羅場だなぁ。先生はなんで死にたいんです?」

医者「俺は……生きていく権利がない……君を殺したんだ……!」

歴史学者「まぁ、私も思い出しましたよ。
けど、生き返ったんだからいいんじゃないですか?
勇者も泣いていることですし」

勇者「うぅぅ……」

医者「でも……俺は……」

勇者「もう一人にしないで下さい……それか俺を殺してください……!」

ギュッ

歴史学者「……」

医者「……」

勇者「お願いだから……!」

医者「……」

魔王「……いやー、向こうはすごい騒ぎだな。おかげで涙が引っ込んじまった」

女「別にもとから泣く気なんてないだろ?
時間にしたって、私たちが死んでたのはほんの何時間のことだしねぇ」

魔王「そんなことねーよ。俺ビービー泣いたぜ」

男「それって俺のため?どーもすいませんねぇ」

魔王「その通りだよ。悪かったな」

男「……全く、意外なこと言っちゃって。この人が死んだから泣いただけでしょ。
てか、なんで君が死んでるのよ」

女「私はヤンデレってやつでねぇ。アンタのあとを追ったのさ」

男「こわっ。マジで?せっかく助けたのになんてことを……」

女「まぁ、いいだろ。生き返ったし記憶も戻ったし。
私の名前はサヤカっていうらしいねぇ」

男「なにを今さら。俺は何度もその名前で呼んだはずだけど?」

女「お前の言うことなんて、あてにならないからねぇ。そういえば、お前の名前はア」

男「あれ?奥の受信機が鳴ってるけど。なんのアラーム?」

魔王「ああ、あれはクラウン商会のやつだ。
なにか動きがあったみたいだな」

女「さっそく私たちの出番って訳かい。休む暇もないとは」

魔王「今回は無視してもいいぞ。一応病み上がりなんだし」

男「病み上がりって表現もどうかと思うけどね。
ま、無視するわけにはいかないでしょ」

魔王「そうか?なら、行くか。……でも、勇者達は大丈夫かな」

女「大丈夫だろ。むしろ私たちはいない方がいいんじゃないかねぇ」

魔王「そういうもんか。じゃあ、行くぞ」

男「イエッサー」

タタタッ