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海野ごはん
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novelistID. 29750
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大阪の雨・・放かされて

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翌日、達夫は店に来なかった。彩子は預金からお金を引き出して待っていた。
腹立ち怒る気持ちよりも達夫が心配だった。
何があったんだろう。このお金で達夫の窮地が救えるんだろうか、もっとお金が必要なのではないだろうか・・・彩子の心配は膨らんだ。

3年という月日は短いのか長いのかでなく、どれだけココロを入れあげたかが月日を重要にするんだろう。放かされて見放されて一月を心苦しく過ごした日々が益々、達夫に愛焦がす彩子であったからこそ、怒りよりも心配が先に立つのである。

そして翌日もそのまた翌日も達夫はやって来なかった。
ますます心配が膨らみ前回の放された時よりも心苦しい彩子は店に出なかった。
「ママ、お客さんが心配してはります」従業員の電話の声で彩子は店に戻ることにした。
変わらぬ素振りで接客に精を出す彩子は痛々しかった。ホステスたちも気を使った。

達夫の消息がわかったのはそれから2ヶ月後、新聞の最終面の死亡記事だった。
達夫は大阪湾に浮かんでいた。
彩子はそれから2週間店を休み、また大阪繁華街のネオンに復帰した。
達夫と再会した梅雨の雨は、秋雨前線となりまた御堂筋の歩道を光り濡らしていた。


「放かされて」・・・ちあきなおみ

https://www.youtube.com/watch?v=pByD3cj1mjg

水に七色 ネオンの華は 夢がありそに浮かれてるけど
うちはあんたに 放かされたまま 一人曽根崎 はぐれ鳥
忘れなあかん 忘れなあかん あんたなしでは よう生きられん
忘れなあかん 忘れなあかん 女やもん
洒落た女で居たいのだけど うちはやっぱり 演歌です

あいつばかりが 男やないと グラス片手に気取ってみても
ゆうべ 大阪捨てたと聞けば 知らず知らずに目が濡れる
泣いたらあかん 泣いたらあかん 涙ボロボロよう止められん
泣いたらあかん 泣いたらあかん 女やもん
いっそ放かそか大淀川へ あんた恋しと 泣く心

忘れなあかん 忘れなあかん あんたなしではよう生きられん
泣いたらあかん 泣いたらあかん 女やもん
いっそ放そか大淀川へ あんた恋しと 泣く心