小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

慟哭の箱 6

INDEX|7ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


「あんたは母さんがお腹を痛めて生んだ、大事なうちの長男よ。自慢のね」
「……はい、」

ああ、こんなに簡単だったのか。
清瀬が考えていたよりもはるかに単純明快で、たけど、どんな言葉よりも欲しかった答えだった。

「しかし、おまえをそんな風に悩ましてたのは、俺らの罪だな」
「…ちがいます、俺が…」
「もういい、そんなくだらんことで悩んでくれるな。おまえがこの先頑張らなきゃならんことはただ一つだ。いいか?幸せになることだ。それ以外のことなんか、何一つせんでいいぞ」

わかったか、と言い、父は大きな手で昔と同じように髪をかき混ぜてくれた。この手を煩わしいと思うこともあった。触らないで、あなたまで穢したくない、と。だけど今は、心から思う。
この手の温かさは、自分の手と同じ温度を宿しているのだと。梢のみそ汁が母のそれと同じ味なのと一緒だ。家族なんだ。

「…俺は幸せでした。今日までずっと。これからもずっと」

精一杯の心をこめて、両親に告げる。

「…生まれてよかった。そう思います。このうちの家族になれたから」

ならいい、と父は笑った。母も。

生まれてよかった。

その言葉を、旭の口からも聞きたいと、清瀬は唐突に思った。生まれてよかった。どんな闇に生まれついても、光を目指して歩いて行けるのだと。幸福に手が届くのだと。

もうそんな暗い所にいないくていいのだと伝えたい。両親が清瀬を救ってくれたみたいに。



.


作品名:慟哭の箱 6 作家名:ひなた眞白