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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   章末話   『サクラ咲く キミの待つ場所』

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「…あはは。もう二人とも。それにミミル、間違えではありませんよ。正真正銘この人がヒナちゃんです」


「そういうことだ。悪かったな間違えじゃなくて」


「………」


ミミルは途端に真剣な表情でじっと俺を見つめてきた。
…なんだ?

すると、しばらくの間沈黙を保っていたミミルがゆっくりと口を開く。


「…あなた、『鍵』ですね。微弱ですがあなたの身体から魔力を感じますですの。それにあなたの魔力を奥底までよく探ってみると今までに感じたことのない不思議な魔力を感じますですの」


「ほぉ、魔力が感知できるのか。おチビさんにしてはやるじゃねぇか」


こんな猫耳少女でさえ魔力が感知できんのに何で俺は出来ないんだ。
…まぁ、魔法の知識がないからだって言ってしまえば何も言えないわけなんだが。

さらに、ミミルは続けて、


「あなたにはお礼を言わなければいけないですの」


「礼?何のだ?」


こいつにお礼を言われる筋合いも覚えもないんだが、どういうことだろう。

すると、ミミルは、


「ご主人様をお守りしてくださったことですの」


「ミナを守った??何かの間違えじゃないか。情けないことだが俺はミナに守られたことの方が多かった気がするが…」


あのバケモノのときやヒカリのときとか…。
うん、何回思い返してもミナを特別守った覚えはないな。


「いいえ。あなたは確かにご主人様をお守りしてくれましたですの。それも1度までも2度までも」


「…マジか」


ミミルの予想外もしない答えに俺は困惑した。


「…覚えてませんですの?私があなたの心を通して語りかけたことを?」


すると、ミミルが妙なことを言いやがった。
…俺の心を通してだと。


「一度目はあそこにいるヒカリさんの戦闘があったあの日。あなたは私の干渉を受け、そのせいで激しい頭痛を伴いましたが私はあなたの中に眠る魔力を一時的に引き出しました」


「確かに、そんなこともあったな。そういえば、あの時なんかどこからか声が聞こえた気がしたように感じたが…あれはお前だったのか?」


「はいですの。そのおかげでご主人様をお守りすることができました」


淡々と語るミミルの言葉でやっとあの時あったことが理解できた気がした。

あのとき俺はどういうわけか急に激しい頭痛が走り、意識が朦朧とする中で確かに聞いた、あの声を。そうだ、それで結界をぶち破り、中にいたまどかちゃんと
ヒカリと交戦するミナを助けることができたんだっけ。

さらに、続けてミミルは話を続ける。


「そして、2度目は魔獣者の戦闘の時ですの。あなたは魔獣者に追い詰められ危機が迫っていたあのとき、私はあなたに手をかざすように伝えました」


「あ、あぁッ!!そういやそうだ、あの時確かに聞いた。俺はどうすることも出来ず、諦めかけていたときどこからかわからんかったがテレパシーみたいなもんを感じた。それも、お前だったのか?」


そうだ。迫り来るバケモノの攻撃に為す術もなく立ち尽くしていたあの時、あの声があって俺はバケモノの攻撃を回避することが出来た。まぁ、その後はバケモノの攻撃を回避できずやられちまったけどな。

でも、前のこともバケモノのときもこいつが俺に干渉してくれたおかげで何とかなったんだな。あれがなかったら今頃は…。

そんなことを考えているところにミミルが、


「無茶なことをさせてしまいましたが、ご主人様をお守りしてくれて本当にありがとうですの」


小さい身体ながらも大きくぺこっと頭を下げるミミル。


「そんなもん別に礼を言われるほどじゃないさ。俺は守りたいと思ってただがむしゃらにそう行動しただけだ。だから、別に礼を言われることじゃない」


そう答えるとミミルは、どうしよ~と困惑しているような表情でおろおろわたわたし始めた。…ははは。面白いなホント。

でも、あまりこのチビ猫ことミミルにこんなことを言うのを心の中では躊躇われたのだが言ってやることにした。それがこの今の状況で言わなければいけないと思ったから。


「ミミル、俺もお前に礼を言わなければいけないことがある」


「なんですの?それにミミルって私の名前…」


突然、俺がそんなことを言い出したので、どういうことか何が何だかわからない様子で困惑したような面持ちで小首を傾げて、じっとこっちを見ている。


「あのとき2度も俺に力を貸してくれてありがとうな。おかげで大事なものを守れた。それには本当に感謝している」


「…ヒナちゃん。ふふふ。そうですね、ミミルのおかげで今もこうやって無事にいられるんですものね。お手柄ですよ~ミミル」


ミナはミミルの頭を撫でてやっていた。


「そんなことは…。私はご主人様のためをと思っただけですの」


何だか頬がほんのり赤くなって照れているようだった。


「ふふふ、ありがとう。でも、これで一件落着ですね。ミミルも一緒にこっちに住むことも決まりましたし、それにヒナちゃんもミミルと仲直りしたみたいですしホントよかったです」


「はいですの。よかったですの~」


二人ともにこにこ~と微笑みながらこっちを見つめてくる。
…ってちょっと待て。


「おっと、ちょっと待った、ミナ。前者についてはいいとして、後者はまったくもってそんな気はないぞ~。っていうかそんなの無理だぁッ!!」


俺はビシっとミミル猫耳嬢に一直線に指差していた。


「え~ッ!!で、でもでも、さっきミミルって呼んでくれたですの」


「ん~そうだったか?俺は言った覚えはないぞ。気のせいじゃないのか?その猫耳飾りのせいで聞き間違えたんだろう。そんなんじゃ聞こえにくいだろうし」


「飾りじゃないですの!!本物ですの!!それに私耳だけは自信がありますですの!!」


プンプンと怒り、子供みたいにまた地団駄を踏んでいるミミル。
…って飾りじゃないのかよ、それは。

一体、どういうことだ?
それじゃこいつは何者なんだ?

ホントに猫か?んな馬鹿な。
…だが、あのバケモノがいたんだったらこれもアリか。


「ちょっとちょっとハルくん!!何さっきからみんなで楽しいことしてくれちゃってるの!!そういうことにはお姉ちゃんも一緒に混ぜてくれないと困ったちゃんだよ~」


すると、さっきから放置状態といっても過言ではない姉さんがこっちにやってきて自分が仲間外れにされてると思い、むくれた表情で俺に話しかけてくる。

…そうだ。姉さんならちゃんとわかるはずだ。
あのハイテク・アイに見分けられないモノはないはずだ。
何てったってこの人は、姉さんなんだからッ!!


「姉さんならわかりますよね?あいつの猫耳が飾りだってことが」


同意を求めようと俺が期待の眼差しで姉さんに訊いてみた。-だが


「んん??猫耳??何言ってるの、ハルくん。あの娘に猫耳なんかないよ~。あぁ~ッ!!もしかして、ハルくんってばそんな趣味があったの!?ダメだよ~そんない・け・な・い想像しちゃ☆」


意味深ににやにやと笑みを浮かべ、口元に人差し指を添え、ぱちっとウインクする姉さん。


「いや、そんな趣味は最初からありません。断じて」