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どーでもえっセイ

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続ものおき



「100人乗っても大丈夫」

 というキャッチで市場を独占していたA社の物置。その牙城に一槍入れたのはB社だった。

「当社の物置は106人乗っても大丈夫!」

 センセーショナルかつアグレッシヴなキャッチに、市場は震撼、B社の株価は急騰、反してA社の株価は急落。しかしA社もだまってはいない。

「当社独自の新技術により109人も乗って大丈夫!(特許出願中)」

 ざわ
 

    ざわ

 プレスリリースの会場は、ざわつく。脱兎会場を飛び出し、急いで社に電話をする記者達。翌日の紙面は、A社の話題で持ちきり。
 やはりA社は、業界の魁、その底力、推して知るべしと世間が納得の頷きえを返そうという矢先、B社がyoutubeにアップロードした動画、その映像にはなんと

 ――B社の物置の上で、運動会の組体操ヨロシク、石垣のよに組み合わさった力士×106人の姿、そして一斉に「どすこーーーぉおおおいの掛け声とともに一気に物置の上に崩れ落ちる、が、ビクともしないB社の物置(なんという衝撃映像)
 動画の再生回数は、一ヶ月で一億previewを超え、両者の株価は三度入れ替わった。

 勝負は決したと、思われたその時、A社が起死回生、新機軸を打ち出す。

「お年寄りも安心して乗れます」

 TVCMの映像――無量無数の老人達が、備え付けのなだらかな螺旋スロープを登り、安全手すりの付いた物置の上に登っていく映像――その老人たちの数、どう数えても200は下らない?!
 敢えて人数をうたわないCMを打ち出してきたA社、消耗戦と化していた積載量の競い合いのフィールドを、高齢化社会、介護、バリアフリー仕様という自陣に、移してきたのである。対してB社――

「我が社は、女性の輝ける社会に貢献します」

 CMの映像、B社の物置の上にデスクを並べて、笑顔で仕事に勤しむOL達の姿――結果から言うと、このCMは失敗に終わった。政府の政策におもねったB社のあざとさに世間が反感を覚えたのだ。B社と政治家との癒着を疑う週刊誌の記事などもあって、B社の株価は急降下、A社はやはり業界の雄、物置業界のキング・オブ・キングスは、A社に決した。

 と、世間一般が認めたその時に。とんだ大番狂わせ。業界の異端児、新参のC社が放映したCM、そのキャッチコピーで、消費者は目を覚ました。そのフレーズはこうだ――







「我が社の物置には、たくさん物が入ります」

作品名:どーでもえっセイ 作家名:或虎