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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 3

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氷雨



「ん、なに…痛い…」

顔に何かチクチクしたものが当たっている。旭は手でよけながら目を開ける。

「あっ、おきたよーぅ」
「えっ」

顔を覗き込んでくる、小さな女の子。顔にあたっていたのは、二つにくくった髪の毛だったようだ。

「須賀くん、ごめんね起こしちゃって。だめじゃない桜ったら」
「こ、梢さん?」

清瀬の妹と。そして。

「娘の桜よ。お兄ちゃんから連絡をもらってきたの」
「おじちゃんはー?」
「おじちゃんはお仕事よ」

ああ、清瀬が言っていた姪っ子か。旭はソファから身体を起こした。

「清瀬さんから聞いています。すみません、わざわざ来ていただいて」
「いいのよ。仕事も休みだったから、どうせ桜を連れて掃除にこようと思っていたの。ごはん、食べられる?」

聞かれて壁の時計を見れば、昼の二時を過ぎたところだった。

「はい…おなか、減ってます」
「よかった。桜も手を洗っておいでね。桜はおやつよ」
「はーい。おにーちゃんも一緒にいくー?」

桜ににこっと笑いかけられ、旭も頬が緩んでしまう。

「うん、行く」
「お手てゴシゴシこっちだよー」

作品名:慟哭の箱 3 作家名:ひなた眞白